<全米オープン 事前情報◇11日◇シネコック・ヒルズGC>
出場27回は参加する156人中、最多。タイを含む2位が6回。フィル・ミケルソン(米国)にとって、「全米オープン」は最も勝ちたい試合と同時に、最も勝てない試合の1つだ。
米国男子ツアー通算43勝。海外メジャーでは「マスターズ」3勝、「全英オープン」、「全米プロゴルフ選手権」で各1勝。メジャー5勝を誇る世界のレフティだが、全米オープンタイトルとはとことん縁がない。2013年に全英オープンに勝利した時点で海外メジャー4大会すべてで勝利を挙げるキャリアグランドスラムに王手をかけたが、以降はスランプに陥いった。それでも今季は「WGC-メキシコ選手権」で5年ぶりの勝利。息を吹き返した。
今回の全米オープンの会場は、前回開催された04年でも2位に入ったシネコック・ヒルズGC。当時、優勝したレティーフ・グーセン(南アフリカ)とはトータルで2打差。最終日の17番でダブルボギーをたたいて涙をのんだ。そんな戦いが全米オープンではいつも続いているのがミケルソン。「最初にこの大会に出たときは、とにかく試合に勝ちたい、メジャーで勝ちたいという気持ちだったが、今は間違いなく全米オープンで勝ちたい。キャリアグランドスラムを達成したいと思っている」と、最後の仕上げに意欲的だ。
「全米オープンの中でも最も好きなコース。すべてが試されるコースで、特にショートゲームが重要なファクター。コースからラッキーは取り除かれていて、技術がものをいう」と、巧みなウェッジショットに定評のあるミケルソンだからこそ、今回はチャンスとにらんでいる様子が伺える。
気持ちは当然優勝に向いているが、「木曜日から優勝を意識すると、金曜日の夜には自宅に帰っているのが全米オープン。とにかく木・金はふるい落とされないようにして、週末にチャンスを残すこと」と、冷静さも失っていない。それでも、のどから手が出るほど欲しいタイトル。頭で分かっていても体が反応してしまうのがゴルフだ。残り2日間で心技体すべてを研ぎ澄まし、決戦を迎える。(文・高桑均)
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