<全米オープン 2日目◇15日◇シネコック・ヒルズゴルフクラブ(7,440ヤード・パー70)>
星野陸也の「全米オープン」2日目は9オーバー、トータル18オーバーで予選落ち。しかし「完敗です」と言ったその表情はとても晴れやかだった。日本ツアーでは気づかなかった、自分に必要な課題がハッキリと見えたからだ。
海外メジャー初挑戦。22歳には重圧よりも好奇心が勝った。経験したことのない難しいコースセッティングを目の当たりにし、松山英樹との初めての練習ラウンドや、丸山茂樹からアプローチを教わったりと濃密な5日間を過ごすことができた。「100個くらい勉強になった。今週経験したことを忘れないうちにメモっておきたい」とキラキラとした目で話す星野の気づきを、いくつか挙げてみよう。
【筋トレ】
練習日には腰が張ってテーピングをしていた星野。「フェアウェイが硬いから手首も腰も負担がくる。PGAの選手のガタイが良い理由が分かりました。そうしないと体を痛めるんでしょうね。フェアウェイが硬いし、ラフも振らなくちゃいけないので、強い筋力が必要です。そうじゃないと練習もできないですよね。日本に帰ったらいっぱい食べて、筋トレをします。でもボク太りにくいんですよね。今週だけでまた2、3キロ痩せました」。186センチと長身だが、体重は70キロそこそこの痩せ型。高校時代から星野をサポートするトレーナーの岩間雄祐氏も、会場に来てPGA選手との体格の差に驚き、「もっとお尻をでかくしたい」という。
【クラブセッティング】
星野のウェッジは、52度と58度の2本の組み合わせ。「PGAの選手がウェッジ3本の理由が分かりました(PGAツアーでは52度、56度、60度や50度、54度、60度など3本の組み合わせの選手が多い)。52だけじゃ対応できなくて54度を入れないと無理なところだったり、58度じゃなくて60度がないと、止められないところがあったり、メチャクチャ勉強になりました。5番ウッドではなく、球を低く抑えるために2番アイアンにしたりとか、いろんな方法があったのかなと思う」とクラブセッティングでのコースへの対応を課題とした。
【マネジメント】
インスタートで17番から4番まで6連続ボギー。「すぐに切り替えられないとダメですね。そんなに続いたら話にならない。ショットも悪い流れだったので、しっかり安全な場所に、ピンを攻めないでパーを絶対に狙いに行くような切り替えができたらよかった。『もしかしたらバーディが獲れる』ではなく『絶対にパーを獲れる』マネジメントも、悪い流れでは必要なのかな」と反省した。
【技術】
会場のシネコック・ヒルズGCでは500ヤード前後のパー4が7ホールもある。「飛距離で負けている感じはしませんでしたが、こっちはスケールが違います。セカンドショットはずっとロングアイアンでした。ロングアイアンで、常にピンハイを狙っていけるような精度が必要だなと感じました。芝質自体は慣れですね。慣れれば何とかなりそうです」と米ツアーへの対応に自信を見せた。
【ギャラリー】
「ラフから打つだけですごい大歓声で、ギャラリーも楽しんでいますよね。トラブルショットでかわいそうだなじゃなくて、練習ラウンドでは打たずにラフからピックアップしようとしたら、『打ってよ、見せてよ』って言われて。やってやるかってなりますよね。いろんな技を使いたくなるし、使えるようになったらもっと楽しくなるんだろうな。そういう選手になりたいです」。将来はPGAツアーに参戦したいと宣言した。
予選落ちをして土日が空き日になってしまった星野だが、会場を訪れて試合を観戦する予定だという。勉強熱心な22歳は、トップ選手のプレーを目に焼き付けて、さらに成長するに違いない。(文・下村耕平)
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