障害者がどのようにゴルフを楽しんでいるのかを直接見てもらうことで相互の理解を深め、障害者ゴルフを社会に周知、普及させるきっかけにしたいという目的で開催された今大会。21人の障害者ゴルファーと13人のプロ、そして25人の一般ゴルファーが参加した。今年から試合形式がスクラブル方式に変わったため、各チーム好スコアが続出したが、スコアよりもゴルフを楽しむ顔があちらこちらで見られた。
障害者ゴルファーと競技を楽しむ市原
今季、「日本ゴルフツアー選手権」でツアー初優勝を飾った市原弘大は次のように語る。
「今年で3回目か4回目の参加になりますが、隻腕の人がドライバーで240ヤードを飛ばしたり、義足の方が260ヤードを飛ばす姿を見ると、単純にすごいなと思いますね。トーナメント中に理不尽なことがあっても文句ばかりいっちゃいけないなと思いました」
ラウンド中はプレーヤーとハイタッチするなど、終始笑顔でのプレーとなった市原。今後は「全英オープン」や「ブリヂストン招待」など海外の大会に参戦する予定だが、ハードなスケジュールに向けて鋭気を養うと同時に、勇気とパワーをもらったという。
また、今回初めて参加した稲森佑貴は、「15番ホールではドライバーショットの後、片手で打たなければいけないルールだったんです。残り20ヤードから右手1本でアプローチしたらオッケーの距離に寄りました。おそらく両手で打ってたらそこまで寄らなかったでしょうね。やっぱり、ゴルフは集中力が大切だとあらためて思い知らされました」と、思わぬ収獲に笑顔を見せた。
表彰式の後、参加選手や協賛プロが提供したゴルフグッズが対象のチャリティオークションを行ったが、なんと市原のキャディバッグ、キャップ、ツアー選手権のフラッグのセットが最高額の10万円で落札された。総額では46万2000円が集まり、今大会を主催するNPO法人日本障害者ゴルフ選手会の活動費として寄付された。同会の理事長を務める小池良太郎氏によれば、「障害者ゴルファーがプロとラウンドできる数少ないチャンスですし、参加していただいた皆さんに感謝致します。ゴルフを通じて、積極的に外に出たいと思う障害者が増えてくれるといいですね」と、今後も同大会を続けていくつもりだ。(文・
山西英希)
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