<LPGA最終プロテスト 最終日◇27日◇チェリーヒルズゴルフクラブ>
人生を左右するプロテスト。受かって泣く者、落ちて泣く者がいるなか、2度目の挑戦となった三ヶ島かなは、うれし泣きに暮れた。
来年からの規定変更によって日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の「正会員」しかQTを受験することができなくなるため、いまだ会員資格を持たない選手が大挙して押し寄せ、今年のプロテストは激戦となった。
今季、シード選手としてレギュラーツアーにも参戦する三ヶ島も例外ではなかった。2015年のプロテストに挑戦するも不合格。その年のファイナルQTで5位に入り、16年の出場権をつかみ、シードはならずもその年のファイナルQTで今度はトップ通過を果たす。17年はフルシーズンを戦い、シードを決めた。
16年、17年と、レギュラーツアーのシード権獲得を優先したため、プロテストの受験を見送っていた三ヶ島だが、今年は調子が上がらず、シードを取れれば得ることができる「正会員」の資格が危ないと判断。締め切り直前で受験を決断。まさに決死の思いでこのプロテストに臨んでいた。
初日からいつもの明るい笑顔は影を潜めた。出てくる言葉も堅苦しい。初日こそ5アンダーで飛び出したが、2日目、3日目と思うようにスコアが伸びない展開に表情もこわばっていく。迎えた最終日もスタートは緊張感にあふれていた。「3日目の調子ではダメだと思っていました。切羽詰まった感じでした」と、おにぎり1コものどを通らず、朝の状態は最悪だった。
それでもスタートから強い心を持ち続けた。2番でバーディが先行すると、前半だけで4バーディで折り返し。後半も危なげなく2バーディにまとめ、6つスコアを伸ばし、トータル14アンダー。合格ラインの8アンダーを大きく上回ってみせたが、心の中では3年前の不合格の自分と懸命に戦っていたことを明かす。
18ホール終わって晴れやかな表情を見せていたが、2度のプロテストを振り返った瞬間、こぼれる涙を抑えきれなかった。言葉を出そうと上を向くが涙が止まらない。絞り出した答えは、「1番つらかった…」。屈辱の不合格から3年。ようやくプロゴルファーの肩書きを手に入れた三ヶ島にとって、今年の一戦は、計り知れない重圧との戦いだった。
「3年前に落ちて良かったな、と思います。落ちていなかったら、QTでもツアーでも頑張ることができていなかったと思うから。あれがいいキッカケだった」。晴れて合格した自分を大きく成長させるキッカケとなった、あの3年前の夏の日を今でも忘れない。
次なる目標は当然、シード権獲得とツアー初優勝だ。柔和な笑顔の下に潜む底知れぬ負けん気で、どん底からはい上がった三ヶ島。激闘を終え、「明日から3日間休みです」と最後は、はじける笑顔を見せたが、来週開催される「北海道meijiカップ」では、新生プロゴルファー・三ヶ島かなを見せてくれるだろう。
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