<杜の都仙台チャリティプロアマトーナメント 最終日◇30日◇杜の都ゴルフ倶楽部(7,233ヤード・パー72)>
「杜の都仙台チャリティプロアマトーナメント」最終日。今大会がツアー自粛からの“復帰初戦”となった片山晋呉は、5バーディ・ノーボギーの「67」でラウンド。トータル6アンダーの3位タイで大会を終えた。今年2回目の開催となった今大会は、石川遼、池田勇太らトッププロの参戦だけでなく、片山も話題の中心となった。この舞台裏ではどんなことが起きていたのか? 大会副会長で実行委員長でもある畠中忠彦氏に聞いた。
【写真】大会の模様を特選フォトギャラリーでプレーバック
昨年の第1回大会の出場者にも名を連ねていた片山。今回も、「問題が起きる以前から出場を要請していました。永久シードの選手ですし、出場して欲しいという気持ちはありました」と畠中氏は話した。それだけに、今回の出場については「感謝しています」という気持ちが大会側にはある。問題発生時には「この大会はJGTO(日本ゴルフツアー機構)とは関係ないとはいえ、出場の意思は本人にゆだねるしかなかったです」と不安もよぎったという。しかし「出場したら結果を残す選手ですし、参加してもらえてよかった」と胸をなでおろした。
2日間の競技を終えた後は、31日にスポンサー、関係者らとのプロアマ戦が行われる。片山も、当初は参加メンバーの一人に名を連ねていた。出場要請をした時片山は「出てもいいんですか?」という言葉を口にしたという。それについて大会側は「もちろん、ぜひ」と回答。「永久シードの選手が一緒に回ってくれたら、みなさん喜びますから。昨年のプロアマはとても評判がよかったんです。もちろん片山選手も参加選手の一人でした」。
しかし、大会初日となる29日の夕方。片山から事情によりプロアマ戦に出場できなくなった、という電話が事務局にかかってきた。そのとき、「もしお客さんが私を指名しているのであれば、謝らせていただけませんか」と申し出る片山に対して、「そこまでしなくて大丈夫です、と片山選手には伝えました。来年よろしくお願いしますと言いました」と答えた運営側。片山への信頼がうかがえる話だった。
今回、片山出場の報を受け、開幕前には報道陣から一斉に「本当に出るんですか」という問い合わせや、取材依頼が殺到した。ここで、大会側は「選手に気持ちよくプレーしてもらうため」ある対策をとった。それが取材規制だ。
原則取材ができたのはスポーツメディアやゴルフ媒体。それ以外の申請は断ったという。「私たちはゴルフを通じてチャリティをしている。それを面白おかしく取り上げられたくなかった」とその意図を明かす。それは「コースでプロの技術を東北のギャラリーに見せてもらいたい。週刊誌ネタを見にくる人は一人もいない。実際に片山選手と一緒に写真をとりたいという人も多いんですから」。
それでも、初日には石川と片山を同組にするなど、大会として話題も提供した。「あの組み合わせを見てビックリしたと思う。見せ場は作らないと」とニヤリ。続けて「報道陣もバラバラに追いかけるの大変でしょうから。皆さまにも気を使わせてもらいました」と笑った。
その甲斐もあって多くのギャラリーを集めることに成功。コースは選手を讃える拍手や歓声で包まれた。無事2日間の大会を成功で終えたこの日、畠中氏をはじめ、大会運営関係者らもホッとした表情を見せ、笑顔で帰路についていった。(文・間宮輝憲)
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