<富士通レディース 最終日◇14日◇東急セブンハンドレッドクラブ 西コース(6,675ヤード・パー72)>
首位と2打差の6位タイで最終日を迎えた成田美寿々が、6バーディ・2ボギーの「68」をマーク。トータル8アンダーで今季3勝目、ツアー通算11勝目を挙げた。
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18番グリーン後方に設置されたスタンド。トップタイの状態でホールアウトを迎えた成田はその場所で、同スコアで並び、1組後でプレーしていた最終組のアン・ソンジュ(韓国)のプレーを見守った。ソンジュが、残り1m強のパーパットを外したことを確認すると、静かに笑った。その後、隣で戦況を見守っていた同い年の青木瀬令奈や、祝福に駆けつけた葭葉ルミ、福田真未と肩を組み、ようやく大きな声を挙げ喜びを分かち合った。
「ここで最初に勝った時も、あのスタンドで後続の組を見ていました。最終日最終組での優勝ではなく、あの日と同じ景色でした」
この「富士通レディース」は、2012年にツアー初優勝を挙げた成田にとって思い出深い大会だ。その時も最終組ではなく、5打差を逆転しての優勝。打数の差の違いこそあれ、あの日の記憶がよみがえるのも無理はない。
「今回は2打差だったので、序盤から優勝だけを狙っていました」と話した成田。1、2番で連続バーディを奪うと、4番のバーディで単独トップに浮上した。その後も追いすがるソンジュとのデッドヒートが繰り広げられる。そして、1打リードのまま迎えた最終18番。ここでボギーを喫し、土壇場でソンジュと並ぶことになった。「(ソンジュが)外すわけない。プレーオフのことしか考えてなかった」というのが本音。しかし、その直後に優勝が決定する場面が目に飛び込んできた。
最近5試合で3度の予選落ちを喫するなど、「調子はよくなかったし、優勝できるとは思わなかった」という状態で迎えた今大会。さらに、先週、日本代表の一員として臨んだ国別対抗戦の「ULインターナショナル・クラウン」で、海外の強豪を相手に1勝も挙げられず、「調子が良くても勝てないと思うプレーばかりだった。飛距離、スピン量、球の高さすべてが違う。ショックでした」と失意の帰国となった。その直後だっただけに、なおさら「やっていることは間違っていない。自信が回復しました」と胸をなでおろした。
今大会では、普段は自身のトレーナーを務める安福一貴氏がキャディを務めたのだが、ここにも“不振脱却”の1つのヒントになったという。
開幕前は、広島東洋カープの福井優也投手らプロ野球選手を中心としたアスリートを担当する安福氏と、スイングに必要な体の動きを徹底的にディスカッション。「スタンスが狭いほうがいいスイングができているとか、いいボールを打っている時は右肩が動いているから、調子が悪いと思った時は、肩甲骨を動かすといい、みたいに。これまでにこの考え方はなく、それがハマりました」と、新たな考え方も奏功した。
「1億円プレーヤーになることと、年間5勝という目標はぶれません。あと2勝」と今後の目標も改めて宣言。その先には「米国ツアー挑戦」や「東京五輪出場」など、まだまだ26歳の夢は広がっている。その目的地に一歩近づく優勝となった。(文・間宮輝憲)
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