<樋口久子 三菱電機レディス 初日◇26日◇武蔵丘ゴルフコース・埼玉県(6585ヤード・パー72)>
ホールアウト後のドライビングレンジで、ドライバーショットの練習をしていた原英莉花の口から思いがけないことばが発せられた。
「今日はドライバーショットで芯に当たったホールはなかったですね。納得のいくショットは一発もありませんでした」。
えーと、原さん、本日のドライビングディスタンスの数値は245.5ヤードで、飛ばし屋の葭葉ルミ選手に次ぐ第2位なんですが…。フェアウェイも1度しか外しておらず、俗にいうトータルドライビングでは断トツの1位なんですけど…。
というこちらの心の声が届くはずもなく、ひたすらボールを打ち続ける原。どうやら、ドライバーの弾道が高すぎることに不満があるらしい。あれっ、今使っているドライバーのロフトは7.5度だったはず。おいおい、それでそんなにボールが高く上がるの? どれだけヘッドスピードが速いんだよと思っていると、コーチである尾崎智春が登場。原のドライバーを受け取り、何やら細工を施している。一体、何をしているのか?
「ドライバーのソールに鉛(なまり)を貼ったんですよ。真ん中よりもちょっとフェース寄りに貼ることで、重心がフェース寄りになりますが、その結果、弾道が少し低くなるんです」と智春氏。確かに、2グラムの鉛を貼った途端、きれいなドローボールを連発し始めた。
実は鉛を貼った効果は他にもある。貼る前は少しヘッドが軽く感じたため、インパクトでヘッドが浮いていたという。そのため、スコアラインの下から3本目ぐらいでボールをヒットしていた。ところが、鉛を貼ったことでヘッドが重く感じたため、スイートスポットよりも少し上に当たるようになったのだ。まさに、そのポイントはボールが最も飛ぶ位置でもあるだけに、飛距離も伸びていた。
おそらく、2日目以降は、ドライビングディスタンスが250ヤードを越えるはず。となれば、かなりのアドバンテージになるだけに、ツアー初優勝の可能性は十分ある。初日は「69」の3アンダー止まりだったが、首位の三ヶ島かなとは2打差しかない。風邪気味なのは気になるが、「気合いで治します!」と力強く語っていたので、その心配もないだろう。(文・山西英希)
<ゴルフ情報ALBA.Net>