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アメリカ人もビックリ　TOTOのウォッシュレットは怠け者を増殖させる！？【記者の目】

＜TOTOジャパンクラシック最終日◇4日◇瀬田ゴルフコース北コース・滋賀県（6,659ヤード・パー72）＞
日本人なら1日一度は見るであろうロゴが「TOTO」。いわずと知れた同社だが、トイレに入れば、かなりの確率でTOTO製の便器にお世話になり、ユニットバスなどでもちらちら、頭にすり込まれるように、日本人の生活の一部になっているといってもいい。ところが海外の者にとっては、それほどなじみがあるわけではない。そんなTOTOが、日本で開催される米国女子ツアーの冠スポンサーになって、今年で4回目の大会を終えた。

そんな大会をまとめる米国女子ツアー「LPGA」の本部はフロリダ州のデイトナビーチにあるが、3年前からある変化があったという。「TOTOジャパンクラシック」の大会ディレクターを務め、欧米対抗戦「ソルハイムカップ」のディレクターも務めるベッキー・ニューエル氏が、笑いながら本部について話した。
「4年前にTOTOがこの大会のタイトルスポンサーになったときに、偶然知り合ったTOTOの関係者の方と話していたら、実はフロリダの自宅が超ご近所さんだったんです。そこでトイレの話になって、そんな関係で実現した」と、なんとTOTO製のウォシュレット付きの便器がLPGA本部に納入されたというのだ。
海外渡航経験のある人ならおわかりだろうが、洗浄機付き便器を海外で見かけることはほとんどない。超一流ホテルなどに泊まったことがないから一概にはいえないが、年間5、6回の海外出張で洗浄機能付き便器に当たったのは、今年の韓国出張がはじめて。欧米圏ではまずお目にかかることがない。それが、LPGAの本部には、「男女トイレ合わせて4つの便器がTOTOのウォシュレットになったの」と、ベッキーが教えてくれた。
TOTOが冠スポンサーになったのは三重県で開催された15年から。以降、茨城県そして今年の滋賀県と、大会は舞台を移しているが、日本ツアーとの共同試合としてTOTOがゴルフの試合をしているという事実は、広く知れ渡っている。「日本では有名な会社だとしても、アメリカではまだ知られていないんです。それでも、我々のツアーで試合にスポンサーしてくださっている会社さんを大事にしたいし、ほかのスポンサーにもTOTOの便器のことを伝えていきたい」と、陽気にベッキーは話す。
企業がゴルフトーナメントのスポンサーとなるにはさまざまな理由がある。企業の知名度アップもそうだし、イメージアップ、社会貢献しかり。なかでも現在多くの企業が目当てとするのが、今年の5月に男子ツアーで問題にもなった、あのプロアマ戦の開催だ。自社の顧客やクライアントを呼んで、プロとの1日を楽しんでもらう。そんな人気イベントの主催ができるのだから、国内女子ツアーはスポンサーが後を絶たない。ところがこれは国内に限ったことではなかった。「その傾向はアメリカでも同じです。やはりプロアマでプロと一緒にラウンドできるのは大きな魅力なのです」とベッキーはいう。
ツアーにとって、「最高の商品は一人ひとりの選手」。いかに選手の魅力を伝えていくかがLPGAに課された使命だという。「LPGAでは5年ほど前からプロアマ戦を2部構成にして、前半と後半で違うプロと回れるようにしたんです」とベッキーが振り返る。「アマチュアにとっても1日で二人のプロと知り合えるし、ツアーにとっても、2倍のプロの売り込みができるんです。これは我ながらいい試みでした」。
海外の選手を見ていると、そのファン対応やメディア対応に驚かされることがある。サインは当たり前、写真撮影も気さくに応じ、メディアには答えるものと教育されている。それは当然スポンサーに対しても同じことで、ツアー、選手一体となってスポンサーのサティスファクション、いってみれば顧客満足を実現しようとしている。
「日本でなく、アメリカのツアーのスポンサーをしていただいていることを考えれば、私たちにももっとできることがあるかもしれない。これだけ素晴らしいトイレをつくっているのなら、例えばアメリカの大会のトイレをTOTOにするとかね（笑）」。実現するかは別にして、すぐにそういう発想が出てくるのも、実にアメリカらしい。
選手あってのツアー。スポンサーあってのツアー。選手にとってはファンあってのツアー。それぞれが役割を果たしているからこそ、米国女子ツアーは、一時の不振を脱し、ビジネスとして順調に軌道に乗っている。LPGAにとって、「ツアー開催週は、コース内、コース外も含めて、スポンサーのための週。来年も開催するので、ほかにも何ができるかTOTOと話し合うことも必要」と、すでに来年のことも見据えている。
最後に。今回話を聞いたベッキーと広報担当のクリスティーナもフロリダの本部でウォシュレットを使うことがあるというが、「正直、ボタンがたくさんあって、たまに失敗するの（笑）。でも、暖かい便座は最高だし、個室に入ったら自動的に便器の蓋が上がって、立ったら自動的に流れる。TOTOの便器はアメリカ人を怠け者にするのよ！」と、おもしろおかしくトイレの話で盛り上がった今回の取材。LPGAとTOTOの良好な関係が今後も続くことを期待したい。（文・高桑均）
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