<ダンロップフェニックストーナメント 2日目◇16日◇フェニックスカントリークラブ・宮崎県(7027ヤード・パー71)>
「竹谷、そろそろ真っすぐ打て」。ボソッとかけられる一言が竹谷佳孝には心地よかった。予選ラウンドをジャンボこと尾崎将司と藤田寛之と回った竹谷にとって、ベテラン2人のプレーから学ぶことも、激励のきつい一言も、すべてが力になった。体は満身創痍ながら初日、2日目とスコアを伸ばしてトータル6アンダー、首位と2打差の3位で決勝ラウンドに進む。
【写真】並ぶと貫禄がものすごい…!ジャンボ&藤田寛之
ケガとの戦いが続いてきた。2014年に「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」でツアー初優勝を挙げて複数年シードを持つ身だが、初優勝後は賞金ランキングも下降気味。昨年は賞金シード枠の上位75位から外れ98位。今季もここまで88位。首、肩、ヒジ、手首、手と、ケガに次ぐケガでまともにクラブを振ることさえままならない年が続き、成績も落ちる一方だった。
そんな竹谷にとって、「ここ2、3年の僕の流れの中では、ゴルフができて良かったなという感じ。いろいろと悩んだこともあった。ジャンボ山と藤田さんとのペアリングが良かったですね」と、大御所との36ホールは、なおさら竹谷の心に響くものがあった。
「ジャンボさんと藤田さんは波風立てずに回る。その雰囲気を見ることができてすごく良かったです」と、この日はドライバーが林の中に入ろうが、ラフにもぐろうが、そこから粘り強くパーを拾い、チャンスでバーディを決めてみせた。帰り際のジャンボから「粘り腰」と声をかけられるほどのしのぐゴルフは、2人の先輩のオーラが引き出したものだった。
今季はトップ10はおろか、最高成績は国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」と「長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップ」の18位タイ。「パターとアイアンがそこそこいいので」と、調子が上向きの中で、「ボギーだろうがバーディだろうが、波風が立たない。そういうのを自分に置き換えることができた」と、藤田のプレーから学んだスタイルも好スコアに貢献した。
レギュラーツアーで戦い続けるジャンボの「あくなき追究、自分もまだいける」という面も「勉強になった」と話す竹谷。「結果は十分なので、こういう風にやればいいのかな、と思えた。そういう部分ですね」と、目を輝かせた。決勝ラウンドは優勝も見える位置から、“静かな”ゴルフで復活のときを迎える。(文・高桑均)
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