毎週、ゴルフツアー会場で選手たちを撮影し続けるプロカメラマン。インサイドロープでプロゴルファーの凄みや熱気を感じ、ときおり会話のやりとりを見聞きするなど、“試合中の選手たちに最も近いメディア”であるツアーカメラマンが見た印象的な景色を紹介する。【デサントレディース東海クラシック】
上田桃子のこの気合の入った姿 スキです…【写真】
最終日に8打差を逆転し今季国内3勝目を手にした渋野日向子をはじめ、黄金世代の勢いはすさまじく、毎週誰かしらが優勝争いに顔を出す状況だ。プレーはもちろんだが、「試合中でもカメラを向けると笑顔とともに、手を振ってくれたり、ピースサインをしてくれたりと、サービス精神旺盛な選手も多いですね」と話すのは今大会を撮影した米山聡明カメラマンだ。
さらにその下には、安田祐香、古江彩佳ら今年プロテストを受けるプラチナ世代も控え、『実績十分のベテラン、シード常連の中堅すらウカウカしていられない!』という構図が、今の女子ゴルフ人気を支える一因にもなっている。
だが今大会、米山カメラマンは、長くツアーを支えてきた実力者のプレーに目を奪われた。渋野が16番でチップインバーディを決め、申ジエ(韓国)をかわして単独トップに立ったその頃、裏街道から朝イチでスタートした”ベテラン”上田桃子は、その日だけで6アンダーと大きく伸ばし、トータル10アンダーで厄介な最終9番を迎えていた。
しかしここでも臆せずドライバーを手に、ティショットをかっ飛ばす。セカンド地点にはフォローの嫌な風が吹き、さらにグリーン奥の池は大きなプレッシャーとなる。しかもピンは奥目とあって、安全にいきたくもなりそうだが、そこはさすがツアー屈指のショットメーカー。勇気を持って打ったセカンドショットはピン奥3メートルにピタリと止まった。これを沈めてバーディ。クラブハウス内にも轟くほどの大歓声がグリーンを包んだ。
今回、米山カメラマンが選んだのは、そのセカンドショットを打ち終えた直後に撮った一枚だ。「どちらかといえば、カメラに向かって何かをすることが少ない上田選手ですが、この時は珍しく満面の笑みでピース! それで慌ててシャッターを切りました」。この日上田は2日目の26位タイから、渋野に次ぐ2位タイにまで順位を上げ、大会を終えた。
「“まだまだ私の存在を忘れてもらっては困る”という気持ちが伝わってくるような最終日の上田選手のプレー、かっこよかったですね」(米山カメラマン)。今季2勝の上田桃子…、勢い十分だ!
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