男子ツアーも残すところあと2試合となった。最終戦は今季優勝者と賞金ランク上位者らに出場が限られるため、実質多くの選手にとっては「カシオワールドオープン」が最後の一勝負。ここまでの大会を踏まえ、活躍が期待できる選手を佐藤信人がピックアップ。ツアー9勝を誇り、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の広報担当理事を務める佐藤が挙げた注目選手は?
昨年優勝者は…変則スイングでおなじみのあの人【写真】
■パーオンはしやすいけど…… 広いグリーン攻略が勝利へのカギ!?
2005年からKochi黒潮カントリークラブで行われている本大会。高知で行われるようになってからの歴代優勝者を見てみると、意外にも“これ!”という共通点がない。「コースはぱっと見て広くて距離も長く、パー5が4ホールあるパー72。超ロングヒッター向きの印象を持つと思いますが、優勝者の顔ぶれを見るとそれだけではないんです」。歴代覇者の面々を見ると、ロングヒッターやそうでない選手、持ち球がドローだったりフェードだったりと様々。その中で共通点があるのがパット巧者だ。過去大会を見ても、優勝者は大会期間中に限らず平均パット数がツアー上位の面々ばかり。
「ある程度、どのコースでもパターが巧い人は上位にきますが、この大会は特に大事。OBや池も少なく、ティショットのプレッシャーが少ない。その上グリーンの面積も大きいので、比較的パーオン率は上がります」。昨年大会でも、最終日にパーオン率100%をマークする選手が出るなど比較的グリーンには乗りやすい。そのため、パーオンは必須とした上でグリーンに乗ってからが勝負になる。
「僕個人の印象ですが、グリーンが広く高低差もあるためなのか、“ベタピン”が少ない印象があります。4、5mのミドルレンジを決めることが大事」。ピン位置や風などその日のコンディションにもよるが、遠いところに乗せて2パットで納めることが重要となりそうだ。
■パット巧者と言えば、賞金王候補&歴代覇者のこの2人
そこで名前を挙げたのが、今平周吾と池田勇太。今平は今季の平均パット数7位、池田は同2位につけている。現在1位にはショーン・ノリス(南アフリカ)がつけているが、前週は体調不良で棄権、本大会には過去3度出場して2度予選落ちを喫している。「賞金王争いでノリス選手と今平選手で白熱してほしいですが、大会の相性や今の流れを考えると、この2人がいいと思います」。
池田は前週の「ダンロップフェニックス」で平均パット1.5回のダントツ1位をマーク。今平も1.6回の単独3位をマークした。今平は今週で賞金王を確定させる可能性も十分あるため、活躍に注目が集まる。
■シード争いも見逃せない!ライン上のカギを握るのは……
もう一人名前が挙がったのが阿久津未来也。賞金シード選手たちに混じって、今季の平均パットで8位につけている。パットの巧さはもちろん、自身初の賞金シードをかけた大一番での活躍にも期待がかかる。
「阿久津選手は賞金ランク68位で大会に入ってくる。今週上位に入って65位のシードに入れば、AbemaTVツアーの枠がひとつ増えることになるので、来年のシードに関してキーパーソンですね」。男子下部ツアーのAbemaTVツアー賞金ランク上位20名には、来季の前半戦への出場資格が与えられるが、阿久津は同ランクで現在9位。レギュラーツアーでのシード獲得が決まれば、上位20人から漏れた選手がひとつ繰り上がることになる。
「阿久津選手は昨年大会が初出場ですが、31位タイとまずまずの結果を残している。コースの感じもわかっているので、期待できると思います」。賞金王にシード争い、様々な思惑をかけて、終盤の大勝負が幕を開ける。
■佐藤信人(さとう・のぶひと)
1970年03月12日生まれ、千葉県出身。高校卒業後に米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ進学。1993年に日本のプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝を挙げた。ツアー通算9勝を誇り、現在はJGTOの広報担当理事も務める。
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