9月末に欧州女子ゴルフツアーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から延期されていたサウジアラビアでの大会を11月に開催することを発表、同国では初の女子ゴルフとなるが、KPMG全米女子プロ選手権の戦いを終えた欧州のトップランカーたちが出場を明らかにした。
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初戦は11月12〜15日、アラムコ・サウジレディスインターナショナル、欧州ツアーの108選手によって戦われる。賞金総額は100万ドル(約1億500万円)、そして17〜19日はサウジ・レディスチームインターナショナルが開催、両大会ともジェッダ近郊のロイヤルグリーンズGCが舞台となり、賞金総額は50万ドル(約5250万円)となる。
出場を表明したのは「KPMG全米女子プロ選手権」で畑岡奈紗と並んで3位に入ったカルロタ・シガンダ(スペイン)、18年「全英AIG女子オープン」覇者のジョージア・ホールやチャーリー・ハル(ともに英国)の欧州のトップランカーたち。
サウジアラビアは昨今「女性の権利取得」のために、男性後見人制度などが一部緩和されるなどの法改正が進んでいる。車の運手、海外旅行などが可能になったが、とは言えまだまだ先進国との差は著しい。女性権利を訴える活動者は拘束されることもある。
サウジアラビアでは男子ゴルフに積極的で1月には欧州ツアーが“サウジインターナショナル”と高額賞金の大会を初開催、タイガー・ウッズ(米国)の過去最高となる325万ドル(約3億5千万円)のアピアランスマネーで招致した。(ただしウッズは腰痛を理由に辞退)。この時期はトルコのサウジアラビア総領事館で起きた米ワシントンポストの“カショギ記者暗殺事件”の影響でスポーツイベントに出場する選手に批判が殺到、その中で辞退する選手が続出していたのだが…、第一回大会で勝利したダスティン・ジョンソン(米国)は「ゴルフをプレーすることは僕の仕事」と政治には関わりがないと強調した。
シガンダは「私たちは現地に行っても、リゾートに滞在しているから、本来の女性の置かれている環境を見ることはできない。政治と関わることは好きではない」とプレーに集中すると話す。
一方2週前のショップライト・クラシックで米ツアー初優勝を挙げたメル・リード(英国)は2年前に自身が同性愛者であることを告白しているがサウジでは同性愛は禁止、「サウジの多くのことに反対だけど、サウジでプレーすることはあまり心地良くない」という意向だ。
本来は女性は公共の場では肌を露出しないのがルール、が同大会では半袖や足首を出すパンツが認められるなど規定が緩和されている。
「なんでも最初の一歩というのがある。女子プロたちの華やかな活躍が少しでも女性権利向上に役立てば」とベテランのローラ・デイビスも参戦を検討中。
サウジでのゴルフは2025年までに学校でのプログラムの一環として10万人のジュニアゴルファーの育成を目指すとしているから、きっと女子ゴルファーも誕生すると願いたい。(文・武川玲子=米国在住)
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