いよいよ現地時間3日に「オーガスタナショナル女子アマチュア」の決勝ラウンド(以下女子アマ)、そして8日からは海外メジャー「マスターズ」と2つのビッグイベントが行われる。日本からは女子アマには上野菜々子と梶谷翼、マスターズには松山英樹が出場する。
舞台はともにジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(オーガスタ女子アマは決勝ラウンドのみ)。球聖とよばれるボビー・ジョーンズと名設計家アリスター・マッケンジーが創り出したゴルファー憧れの18ホールを、日本人女性として初めてラウンドし、「私としては回りやすかった。好きなコースです」と話す安田祐香に、コースメモを見ながらグリーンを中心に解説してもらった。
「前半の要注意ポイントです」として安田が挙げたのが4番から6番までの3ホール。「前半は飛距離的には、グリーンを狙うショットで特別に長いクラブを使うことはないので、そこでしっかりグリーンに乗せることが大事。4番から6番の3ホールが難しいので、ここをしのぐことがスコアを作るうえで重要となってきます」。そんな前半の“アーメンコーナー”の攻略法を話してもらおう。
■4番パー3(オーガスタ女子アマ170ヤード、マスターズ240ヤード)
距離のあるパー3。使用クラブはロングアイアンから風次第ではウッドを持つことも。グリーン左と手前にはバンカーが待ち構えている。ホール名はフラワーリング・クラブ・アップル。
【ティショットのポイント】二段グリーンの落としどころ
このティショットについては「特に難しい」と言い切る。「二段グリーンでピンが左奥でした。段は越えたいけど、奥はダメ。どっちをとるかといったら手前でいい、という判断でした」。「フォローだったので」と6番アイアンでティショットして、3メートルにつけてバーディを奪った。グリーン面は左右に分かれ、手前の真ん中にバンカー。ショットの精度が試される。
【グリーンでのポイント】奥よりも手前 攻めるよりもパーセーブを
それでも「結果オーライだった」という。「とりあえず同じ段に乗ればOKだと思います。前半でもかなり難しいホールなので、攻めすぎず安全に行ったほうがいい。どちらかを取るならば奥にこぼすよりも手前に残ったほうがまだマシ。ここをしっかりパーセーブすることが前半のポイントの1つだと思います」。
■5番パー3(オーガスタ女子アマ400ヤード、マスターズ495ヤード)
左ドッグレッグのパー4。19年から40ヤード伸びて495ヤードとなったホールで、前半の難所。ホール名はマグノリア。
【ティショットのポイント】フェアウェイバンカーに要注意
4番に続き、「ここも難しいと思います」という警戒ホール。「フェアウェイバンカーが左にあります。女子アマなら220ヤードキャリーでギリギリ越えると思いますが、ティショットはバンカーの右を狙うイメージで打ったらいいと思います。私は右のテレビ塔狙いでした」。マスターズでは越えるために315ヤードのキャリーが必要となるこのバンカーは非常に深く、入ってしまうとパーセーブは非常に難しくなる。
【2打目のポイント】急傾斜のグリーン なるべく奥につけたい
そのティショットをクリアしても「ティショットも難しいですけど、さらに難しい」というグリーンが待ち構えている。「複雑というか傾斜がすごい。私はヤーデージブックに書き込む内容はシンプルに書くタイプですが、これだけ書いているということはかなりきつい」。ポイントは傾斜より奥に打つことだが、「斜めに傾斜が入っているので難しい。ここも同じ面に乗せたいんですけど」。一番ダメなところとして挙げるのは、ピンが左の場合、右手前だという。「ロングパットが残ったときは3パットしてしまうと思います」と、オーガスタのなかでも特に次のパターを考えないといけないホールだ。
■6番パー3(オーガスタ女子アマ165ヤード、マスターズ180ヤード)
打ち下ろしのパー3。グリーンが大きく、ピンポジションで狙いが大きく変わるのが特徴だ。ホール名はジュニパー。
【ティショットのポイント】ピン位置次第でガラリと難易度変化
マスターズ最終日に右奥の段上にピンがきられるのが恒例のこのホールだが、安田が経験したのは左手前のピン。「私のときでも奥から1.5メートルくらいオーバーしたりしてかなり速かったので、右奥に切られるとかなり難しいと思います」。右奥の段は6畳間に球を止める感覚。少しでも左に行くと傾斜で左手前まで落とされ、超ロングパットが残る。
【アプローチのポイント】アプローチは激ムズ まずは乗せることを優先に
それ以上に難しいと話すのが奥からのアプローチ。「グリーンは右奥にマウンドがあって、左奥にも傾斜がありますから左右ともにオーバーするのは絶対にダメ」。念の為、奥からのアプローチを練習ラウンドでやってみたものの、寄る確率は低かったという。「アプローチよりは山を越えるようなパターのほうがまだ確率は上がると思います」とまずは乗せることを優先したい。
安田祐香(やすだ・ゆうか)
2000年12月24日生まれ、兵庫県神戸市出身、NEC所属。2019年「アジアパシフィック女子アマ」では8打差をつける圧勝を飾るなど、トップアマとしてその名をとどろかせた。同年の「オーガスタナショナル女子アマチュア」では日本人女性として初めてオーガスタナショナルでプレーし、3位タイに入る活躍を見せた。同年、プロテストに一発合格。初優勝が期待されるプロの1人である。163cm・53kg。
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