2021年のステップ・アップ・ツアー第2戦「フンドーキンレディース」が13日(火)に開幕する。舞台は大分県の臼杵カントリークラブ。自然豊かな戦略性あふれるコースで行われる3日間大会となる。そこで同ツアーを放送するCSチャンネルのスカイAで、16年からラウンド解説を行う下村樹美プロに見どころを聞いた!
■開幕戦で感じた42歳の“闘志”
今年の初戦となった「ラシンク・ニンジニア/RKB レディース」は、42歳の佐藤靖子がプロ入り後、初優勝を飾った。結婚、出産を経て、遅咲きの初タイトル。ステップ・アップ・ツアーは、なにも若手だけの大会ではない。かつてレギュラーツアーで戦っていた選手が、再び輝ける場でもある。賞金シード選手としてツアー転戦をしていた佐藤にとっては、今回の優勝は遅ればせながらの第1歩となった。
大会最終日、最終ホールでバーディを決めてプレーオフに持ち込み、さらにはそのプレーオフでも長い距離のバーディパットを沈めた。それを見た下村は「闘志があふれていました。負けん気というか、ベテラン選手にあるクールさと、熱い闘志がみなぎっていて、それがうまく合わさっていました」と、気合と冷静の初優勝を振り返った。
「17番のセカンドショットもライがよくない状況から、しっかりとボールを上げていました。若い選手にはない技術でしたし、経験からくるものだったと思います。初優勝とは思えないほど、地に足がついた勝利だったと感じました」(下村)
総じて初戦は、「技術力が高い中堅以上の選手が上位に入った印象があります」と下村。春先の芝が薄い状況で、アップダウンが激しい、グリーンも砲台が特徴のコース。スコアメイクに苦しむ者も続出したが、これまで培ってきた経験を力に変える選手の活躍が目立った。
■結果が欲しい二人の飛ばし屋
では迎える2戦目は、どのような展開になるのか。下村がいま注目しているのは、2人の飛ばし屋、鈴木麻綾と山本景子だ。鈴木は愛くるしいキャラクターとして、ツアー仲間からも人気の“愛されキャラ”。周囲を巻き込み、楽しい空気をつくるのがセールスポイントだ。「見た目どおりで人なつっこいし、ニコニコしていて、ギャラリーの方、先輩、後輩、みんなから好かれます」。
そんな鈴木は17年にステップで1勝を挙げているが、19年には22試合に出場したレギュラーツアーで大不振を味わった。「そのときの鈴木選手は、予選を通ることができない自分に焦りを感じていましたが、いまはメンタル的なトレーニングもしています。一時はトレードマークの笑顔が消えてもいましたが、今年は持ち前の飛距離に加えてグリーンを外しても戦えるための練習をみっちりしてきたそうです」。目に見えて成長していると下村は太鼓判を押す。初戦でも5位タイに入り、その変化は明らかだ。
もう一人の山本については、「初戦も惜しかったですね(3位タイ)。元々バーディ数が多いし、飛距離も出ます。高い球でグリーンを狙っていける強みもあります」と評する。初戦では惜しくも佐藤、森岡紋加との優勝争いのすえ競り負けたが、期待値は高い。山本は17年シーズンにレギュラーツアーに参戦したが、25試合に出場し、こちらも鈴木同様に苦しんだ。今年28歳となる山本もまた、飛躍が待たれる選手だという。
■自然の地形を生かしたアンジュレーション豊かなコースは中堅向き?
今回のコースは、大分県の自然豊かな趣があるコース。特徴としては、「アップダウンもしっかりあって、打ち下ろしのティショットが多い。今までは秋開催でしたが、この時期の風次第」と天候・気候によって表情も変わる。さらに「セカンド地点からグリーン面が見えないホールも多く、左足上がりや、傾斜からのショットが重要になってきます」となれば、ボールの置きどころなど、攻略にはマネジメントが大事になる。
その点では『距離を出さなくても、いいライに置く』、『高い球でグリーンに止める』、『グリーンを外してもアプローチでしのげる』といった、技も必要になってくる。その意味では、「中堅選手にチャンスがあると思います」と、経験と技術を生かせる選手が勝機ありと見る。
鈴木は26歳、山本は27歳。若年化が進む女子ツアーにあって、20代中盤の奮起に期待をこめる。「黄金世代より少し上の世代。最近の傾向だと、その年代はなかなか注目されませんが、実は経験もありつつ、若さもあるいい年代なんです」。
20年最終戦に優勝し、今年の初戦でも5位タイに入った24歳の小野祐夢も注目株の1人だ。レギュラーツアーで実績をあげ始めている田辺ひかりや但馬友らと同学年で仲も良く、「この年代でも、まだまだこれからという選手はたくさんいますので、楽しみですね」と下村は期待を寄せる。まだ、最初のステップを踏めていない“中堅選手”にも注目して見るのもおもしろい。
解説・下村樹美(しもむら・じゅみ)
1988年5月13日生まれ、愛知県出身。2011年にプロテストに合格。ケガなどもあり一線からは身を引いたが、16年からはスカイAでラウンド解説をしている。プロ目線での解説が好評。今年もステップ・アップ・ツアーから選手のプレーの模様や声を届ける。
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