今季の国内女子ツアーで賞金ランキング首位を争う小祝さくら(賞金ランク1位・優勝3回)と稲見萌寧(賞金ランク2位・優勝6回)。ゴルフ雑誌ALBA821号(5月27日発売)では、絶好調の2人のスイングを、小祝のコーチを務める辻村明志氏が解説。辻村氏は「それぞれ違った特徴がある」と語っている。
正確無比なフェードボールが持ち球とする稲見のスイングの特徴は、ヘッド軌道にある。「真っすぐヘッドを入れて。ややインに抜く“ストレート・イン”軌道で打つから曲がらない」と辻村氏はいう。
「フェードヒッターは、アウトサイド・インで振り抜くのが一般的です。しかし、稲見さんは真っすぐヘッドを入れ、体の回転で左に振り抜く“ストレート・イン”でフェードを打ちます。アウトサイド・イン軌道よりも長く球を押せるため、曲がり幅が制御された球筋が打てるのです」
稲見のスイングのポイントとなるのは手元の動き。「始動からトップまでフェース面を変えず、手元を遠く高く上げることでアークが大きくなり、真っすぐヘッドを入れやすくなります」。ドライバー下手なアマチュアのように、いきなりフェースを開いてインサイドに上げると、インパクトが点になってしまい、曲がるリスクが高くなるというわけだ。
一方、ドローヒッターが持ち球の小祝のスイングの特徴は、「ダウンスイングにある」と辻村氏はいう。ドライバーが曲がってしょうがないアマチュアに参考にしてほしいのが、左ヒザと左尻の動きだ。
「小祝さんはダウンスイングで左サイドに踏み込んだとき、左ヒザの上に左のお尻が乗っているのがわかると思います。この動きにより、左足で踏ん張って左サイドに壁が生まれ、上体の力が抜けるので静かにクラブを振り下ろすことができるのです」
ここで左腰が流れると、右プッシュが出てしまう。また、上体に力が入ると、クラブが外から入ってきて、ドローと逆球のスライスが出る。小祝は辻村氏の指導の下で、この左ヒザの上に左尻が乗るダウンスイングを練習で体に覚え込ませ、現在の安定したスイングを作り上げた。特に効果的だったのは、ワイドスタンスでのショートアイアン打ち。下半身の使い方を確認しやすいため、左サイドが流れなくなった。
「また、内側に倒しながら地面に圧をかける右脚の使い方もポイント。右脚全体を内側&下向きに回転させて、効率的で力強いインパクトを迎えています」
フェードヒッターは稲見、ドローヒッターは小祝のスイングを参考にすると、本番でのOBが減って飛距離アップが期待できそうだ。
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