<富士通レディース 最終日◇17日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6679ヤード・パー72>
降雨によるコースコンディション不良のため、36ホールの短縮競技となった本大会。前日までの予選2日間を終え、12アンダーで首位に並んだ勝みなみと古江彩佳のふたりは、16番パー5、17番パー3、18番パー4の3ホールのストロークで競われるプレーオフに臨んだ。
最終日の中止が決まったのが午前10時45分。その後も強い雨は降り続いたが、いくぶん雨が弱まり始めた午後1時にプレーオフが開始された。ふたりだけの短期決戦で勝利したのは、17番でバーディを奪った古江だった。「古江さんがうまかった。17番(170ヤード・パー3)でバーディを獲られたらあきらめがつきます」と、やさしい笑顔で話した勝。そこに敗者の涙はなかった。
この日の17番はエッジまで150ヤード、ピンは左奥で182ヤードのセッティング。風は強いアゲンストで、大粒の雨が横殴りに降りつけている状況だった。古江は右からのドローでピン左2メートルにつけてバーディ。一方の勝は、右奥のピンに対してグリーン左奥ピンまで20メートルにつけた。そこからナイスタッチで50センチに寄せてパーを獲るには獲ったが、「あの場面であそこにつけるのはスゴイと思いました」と勝者を讃えた。
「昨日までと違って今朝は寒くて、でもやれるかもとも思っていました。中止が決まってプレーオフになると分かったときは、それはそれで頑張ろうと切り替えました。厳しい状況だけど楽しまなくちゃいけない。楽しくゴルフをやるというのが、私が目指していること。それを崩したくありませんでした」。悔しいのはもちろんのだが、それ以上にやり切った充実感が表情に出ていた。
負けはしたが、勝にとっては収穫のあったプレーオフだったという。「18番は予選の2日間ともティショットを曲げてラフに入れていたのですが、プレーオフでは真っすぐ狙いどおりフェアウェイに置けました。セカンドショットもオーバーしましたが、ピンに向かって真っすぐ。5月のころはそれが打てていなかった。勝利という結果は伴わなかったけど成長を感じました。攻めのゴルフをして、悔いなく終われました」。勝負を楽しめた満足な笑顔で話した。
確かに古江は、勝のいうとおりうまかったのだろう。だがプレーオフ3ホールのすべてのショットで、攻め続けた勝の勝負にかける思いは古江以上だったのではないだろうか。その強い気持ちがあれば、これから何度も優勝争いに顔を出してくるに違いない。それを確信させるプレーを勝は見せてくれた。次戦に期待しよう。(文・河合昌浩)
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