<樋口久子 三菱電機レディス 2日目◇30日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード・パー72>
またしてもこの2人が優勝争いを演じることになった。2日目を終えて首位タイで並んだのは、4人のプレーオフとなった4試合前の「スタンレーレディス」で最後まで残った渋野日向子とペ・ソンウ(韓国)だった。
日本で渋野が最終日を首位で迎えるのは、初優勝を挙げた2019年の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」以来。奇しくもこの時もソンウと並ぶ首位タイからのスタートだった。ほかにも同年ソンウが優勝した「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で2位になったのは、ほかならぬ渋野。優勝争いをするときには“ニコイチ”となることが多い。
確かに同じドローヒッターでショットメーカーだが、それならほかにもいる。なぜこうも2人は上位に入る大会が多いのだろうか。渋野がキーワードに挙げたのは“ガマン大会”だった。
「今週もそうですが、風が吹いたり難しいときにソンウさんは上位に来る印象があります。前回のスタンレーもそうですし、サロンパスとリコーはメジャー大会でもちろん簡単じゃないですしね。ある程度、ガマン大会というかそういう大会で強いイメージです」
マネジメントを含む総合的な技術が高く、いわゆる難コンディションに強いソンウ。一方で渋野は、そういう大会について強いかと考えれば「まったく(笑)」という。では、なぜか。自分なりの分析を続ける。
「今週も、スタンレーでもそうでしたが、パーオン率がよかったり、フェアウェイキープ率だったり、私の場合は自分のショットがいいときに上位に行く。ショットがよかったらある程度スコアが出るタイプだと考えると、ガマンしなければいけないコースとスコアが出るコースのどっちが得意なのかは分からない。どちらかといえばコースなどの(外的な)コンディションよりも、自分の調子次第なので」
つまり渋野の調子がいい時に行われる、スコアが出にくい大会で、きっちりソンウが技術を発揮して上位にきたときに一緒になることが多いというのが渋野の見解だ。それに加えソンウはトータルドライビング2位で、渋野は規定ラウンドに到達しておらず参考記録だが5位相当というドライバーのうまさや、同じく10位前後のパーオン率というショットメーカーが力を発揮する場面でぶつかり合うことが多いのだろう。
さて今週は…。硬くて速いグリーンに加えて、最終日は午後から雨予報。さらに武蔵丘特有の風も出てきたらまさに“ガマン大会”となる。そこまで言い切るほど十分にショットの手ごたえを感じている渋野。それに対し「今まで優勝争いをしていて渋野選手が2回優勝したので、1回くらい私に譲ってくれてもいいんじゃないかな(笑)」とソンウは語る。今大会はどちらに軍配が上がるのか。(文・秋田義和)
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