<アジアパシフィックアマチュア選手権 3日目◇5日◇ドバイクリークゴルフ&ヨットクラブ◇6986ヤード・パー71>
「もう帰ろうや〜! おなか空かないの!?」。日が沈みかけた2日目の練習場に、残っている影は3つ。午後組スタートの中島啓太、阪根竜之介、森山友貴。ホテルまでの送迎バスの時間ももうすぐだ。帰りじたくを始めた阪根だったが、打ち続ける2人に合わせて、なんやかんやと並んでギリギリまで球を打ち続けていた。
6人の日本人選手が出場している「アジアパシフィックアマチュア選手権」。松山英樹、金谷拓実を筆頭に、毎年日本勢の活躍は目覚ましい。今年も6人全員が予選を通過。ドバイ入りからここまでの様子を垣間見るだけでも、この結果はもうなずける。
中島、河本力、杉浦悠太の日本から入った3人は、現地時間31日(日)の早朝の便で現地着。米国在住組の阪根、欧陽子龍、森山友貴の3人は夕方の便でやってきた。コロナ禍のため、外出は原則禁止。移動は公式の送迎車を利用し、食事を含めてすべてがホテルとコース内で完結するため、眠る時間とラウンド以外は大半の時間を一緒に過ごしている。
ホテルに到着早々にPCR検査を受け、結果が出るまではホテルにカンヅメ。練習場に行きたくても行けず、待たされること7時間。しかたなく、結果を待ちながらレストラン横にある小さな人工芝で、パターを転がして待っていた。結局、結果が出たのは夕方17時ころ。急いでコースに向かって、コースクローズまでの30分だけ球を打って戻ってきた。
練習日は月曜、火曜の2日間。灼熱のドバイは、スタートする前にすでに汗だく。各国の選手は体力温存のためにほどほどでラウンドを切り上げる中、日本人選手たちは連日18ホールずつをラウンド。「17、18番を疲れた状態でまわってみないと、終盤の練習ができないと思って」と中島。後ろには数組いたはずだが、気がつけば“最終組”。コース整備スタッフに追い立てられるように、日没ギリギリで18番グリーンに上がってきた。
コースを出ると、選手たちが向かうのはホテル内のプール施設。ここでクールダウンすると、19時頃にレストランで食事をとって解散、というのが自然な流れになっている。コースとホテルの往復で終わる日々も、こういう時間でオンオフを切り替えているように見えた。「なんとなく、連絡をとってみんな一緒、にとなりますね」(杉浦)。「日本代表として試合に出ているので、団体行動でいいと思う。集まるのは好きなので」(中島)。米国で生活する欧陽も、「はじめて日本のためにプレーする。日本代表として出場できることがうれしいです」と、チームジャパン入りを楽しみにしていた。
ドバイでの共同生活を楽しみつつ、2日目を終えて4人がトップ10入り。30位タイにいた森山は、「日本人で出たかった子がほかにもいるのに、僕が予選落ちて“なんだ”と思われないよう。国旗を背負って大きい大会に出るのは初めてなので、頑張りたい」とここからもっと上を目指す。試合が始まれば個々の戦い。それでも、仲間がいるから頑張れる。お互いの存在が、より力を引き出してくれるのかもしれない。(文・谷口愛純)
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