<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇14日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
AbemaTVツアー年間3勝でレギュラーツアーの出場権を獲得した19歳の久常涼。御殿場でもその勢いを見せて、レギュラーツアーでは自己最高となる4位タイで終え、来季の賞金シードがほぼ確定した。
3打差4位から出た最終日、前半一つ落として後半に入ると、上位陣が伸び悩む中、耐える久常にもチャンスが訪れた。300ヤードに設定された15番パー4。4番ウッドで放ったティショットはピン左2.5メートルにワンオン成功。「これを入れたら(首位と)同点になるのは分かっていた。それを入れられずに流れに乗れなかった。悔しい」とバーディで終わったことで、続く16番では攻めた結果のボギーと後退した。最終18番パー5でバーディパットを沈めて588万円余りを上積み。出場10試合で獲得賞金は1421万円余りでランキングは56位で賞金シードをたぐり寄せた。
19歳のルーキーは初めての御殿場でキャリアハイの順位に「(4日間)自分の持ち味は発揮できたと思う。楽しかった、満足」と話したが、15番以降のプレーを思い出すと「悔しい」と優勝のチャンスを逃した思いが漏れる。「自分がいちばん下手。優勝には何かが足りない。残り2戦は最終戦のJTを目指したい」。賞金シードはただの通過点で、今季の優勝者と賞金ランキング上位者しか出られない最終戦に照準を絞っている。
国内男子ツアーはこれで残り3戦。この時期恒例の賞金シード争いは、あと2戦だ。久常の登場により、その席は1つ埋まったが、今年は例年以上に初シードを確定させている選手が多い。その背景にはコロナ禍により、シードを保持する外国勢で入国できない、もしくは入国しない選手が多いことが挙げられる。
賞金シードが付与される賞金ランキング65位のボーダーラインは1300万円前後と予想される。すでに1400万円を超える初シード組は、金谷拓実、杉山知靖、片岡尚之の初優勝組に加えて、石坂友宏、大岩龍一、阿久津未来也、古川雄大、植竹勇太、小齊平優和、幡地隆寛、清水大成ら16人いる。また、復帰組では、上井邦裕、高山忠洋、矢野東らベテラン勢を中心に8人。一方、賞金シード陥落の危機の日本勢は、23季連続シード保持中の藤田寛之、武藤俊憲(複数年シードは保持)、藤本佳則、塩見好輝、正岡竜二らの名前が挙がる。
2018年の優勝シードで出場している木下裕太は賞金シード復帰を目指す1人。この日は2ボギー・2ダブルボギーの「76」と落として、18位タイで終戦。207万円余りを獲得して1309万円ほどにとどまり、まだ予断を許さない。
また、18年に賞金シードを喪失し、今季は「生涯獲得賞金ランキング上位25位以内」の資格で出場している53歳の手嶋多一。一時はトップ10以内も狙える位置にいたが、上がり2連続ボギーが響いて23位タイ。獲得賞金は154万円余りにとどまり、961万円ほどで賞金ランキングは73位。18番パー5の2打目を池に落とし、ダブルボギーになりそうなところをボギーに食い止めたが、「18番で4日間池に入れているようでは。何で打ってもトップするんです」と18番のプレーを悔やんだが、優勝経験のある「カシオワールドオープン」など残り2戦で劇的なドラマを起こすことができるか。(文・小高拓)
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