海外メジャー「マスターズ」の第2ラウンドが行われ、19位タイから出た前年覇者の松山英樹は4バーディ・1ボギーの「69」で回り、トータル3アンダーで首位と5打差の2位タイに浮上。現地でラウンド解説を務める米国男子ツアー1勝の今田竜二に松山の戦いぶりを聞いた。
■鬼門4〜7番を含む、出だし7ホールで2アンダー
オーガスタナショナルGCは現地時間8日の11時頃から16時頃まで、常時風速7〜8m/sの風が吹き、突風時には13m/sを観測する難コンディション。松山は現地時間午後1時52分にティオフしたが、まさに風が強まっている時間帯だった。「フロントナインを回っているときが一番強かったですね。その中でも思い通りのショットが打てているのかなと思いましたし、6番まではかなりいい感じでショットを打っていました」。
2番、3番、6番でバーディを奪い、7番はボギーとしたが「オーガスタは4番から7番までは難しいホールが続く“鬼門”です。後半の11番から13番(アーメンコーナー)が難しいことは有名ですが、それに匹敵するぐらいです。出だし7ホールをイーブンパーで通過できればけっこういい方だと思っていましたが、あのコンディションで2アンダーは、スコア的にも内容的にもすごく良かったと思います」。スタート前の練習場から明るい表情でウオーミングアップを行っていた松山。首の痛みも心配なく、ショットも復調傾向でプレーに入れた様子だった。
2つ伸ばしたまま迎えた12番パー3。松山のティショットはショートしてバンカーの縁近くに落ちた。「風はほぼ吹いていない感じでしたが、ボールの飛球には影響を与えていました。松山選手本人も『152ヤードを8番アイアンでいいショットだった』と納得の一打がショートでしたから。これがオーガスタの風の怖さでもありますね」。正常にアドレスするのが難しい状況で2メートルに寄せて、それを沈めてパーセーブ。
■ショットは80点まで復調している
続く13番パー5は、2打目がグリーン手前のクリークにつかまりピンチを迎えるが、4打目を60センチに寄せてパー。14番パー4ではティショットを左に曲げて2打目をグリーン奥に外しながらも、2メートルのパーパットを沈めてしのいだ。
「状況的に苦しみながらも素晴らしいパーを重ねて、流れを崩さずにラウンドしていました。今週はショートゲームでいい感じにプレーできています。やはりチャンピオンらしいゲーム運びですね」。ピンチをしのぎ続けることがいい流れを作っていると話す。
「グリーン周りでもボールのライでも運、不運はありますが、アプローチを寄せるために大事なのは逆風につけること。特に風の強い日は。アゲンストの風に向かって打てればアプローチは易しくなります。低く出してクッションを入れることもできますし、上げてスピンをかけるなどオプションが増えます。松山選手はその辺も考慮して、ミスをしても逆風につけられる位置に外していることもあったと思います」。アプローチといえども、フォローの風ではグリーンで止めるのは難しくなる。より易しく寄せるためには、ミスをしてグリーンを外す位置も考慮することがポイントという。
いい流れのまま迎えた15番パー5でもほぼ2オンでバーディを奪い、首位とは5打差の2位タイに浮上。「5打差といえども上は1人しかいません。5打差のなかに10人も20人もいる、とでは全然内容が違います。私が見る限り、きょうのショットは80点あげてもいいと思います。あすは本人が望むような80点以上のショットが出せれば、もっともっとバーディチャンスが増えてくると思います。最初の7ホールできょうのようなゴルフができれば、あす以降さらに期待できるのではないでしょうか」。史上4人目の連覇に向けて好位置で週末を迎える。
■今田竜二
いまだ・りゅうじ/1976年10月19日生まれ、広島県出身。テレビで見た「マスターズ」に憧れて、14歳で単身渡米。アマチュア時代の米国ランキングはタイガー・ウッズに次ぐ2位。下部ツアーを経て2005年から米国男子ツアーに参戦。2008年「AT&Tクラシック」で日本人3人目の米国男子ツアー優勝を遂げ、翌09年にあこがれのマスターズに出場した。2022年のマスターズはTBSのラウンド解説を務めている。
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