海外メジャー「マスターズ」の第2ラウンドが行われ、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)が「67」をマーク。2位の松山英樹らに5打差のトータル8アンダーで単独首位に立った。復帰戦のタイガー・ウッズ(米国)は「74」で回り、トータル1オーバー・19位タイで決勝に進む。現地でラウンド解説を務める米国男子ツアー1勝の今田竜二にリポートしてもらった。
■タイガーへの歓声は他の選手の何倍も多い
2年ぶりにマスターズに帰ってきたタイガー。この日の前半は強風に苦しんだが、4バーディ・6ボギーの「74」で回り、予選通過を決めた。「やっぱりタイガーがいてくれるだけでマスターズは全然違います。パトロン(ギャラリー)の熱量が何倍も違いますよ」。
松山の1つ前の組で回っていたタイガー組には何重もの人垣ができ、タイガーの姿を見るのもひと苦労。「ボギーを打ってもパトロンがざわめいたり、バーディのときの歓声は他の選手の何倍もあります。今日だとスチュワート・シンクのホールインワンと同じぐらい歓声があがりますよ」。この日16番パー3でシンクがホールインワンを決めたが、タイガーがバーディを取ったときの歓声は、その“快挙”に匹敵するという。過去5度の優勝経験があるタイガーの復活は誰もが待ち望んだことであり、この歓声がタイガーを後押ししているのかも知れない。
この日は序盤の強風下で4つスコアを落としたが、「右足の影響から低い球でコントロールするのはまだ難しいのかもしれません。ただ全体的にはいいショットを打っていましたし、8番以降巻き返しました。いい位置で予選を通過したと思います」。残り2日。6度目となるグリーン・ジャケットのチャンスはまだまだある。「タイガー自身『最終日バックナインで首位と5打差にいればチャンスがある』と言っています。足の心配もありますが、あすは難コンディションの中、アンダーパーで回れるか。3、4アンダー出して、トップ10以内にいればチャンスはあるでしょうね」。
■世界1位のシェフラーはマスターズの重圧とどう立ち向かう
松山やウッズが追う相手は、スコッティ・シェフラー。2週前の「WGC-デル・テクノロジーズ・マッチプレー」で今季3勝目を挙げて、世界ランキング1位になったばかり。「今、PGAツアーで一番ホットな選手です。この2日間は攻撃的なゴルフでスコアを伸ばしたと思います」と今季の好調ぶりをオーガスタでも見せている。
「シェフラーはメジャーでは勝っていません。ましてやマスターズですから。他の試合と同じような感じでこのままできるのかが見ものです。予選2日間のような攻撃的なゴルフができなくなる可能性もありますよね。シェフラーがどういう心境なのか分かりませんが、このまま攻めに徹してガンガン伸ばそうとするのか、それがうまくいかずに崩れてしまうのか、こうご期待ですね」。シェフラーの独走が続くのか、はたまた混戦になるのか。あすは楽しみな一日になりそうだ。
■金谷拓実、中島啓太はタフなコンディションで予選落ち
また、3年ぶり2回目、プロとして初出場となった金谷拓実は2日間トータル5オーバーで1打及ばず予選落ち。初出場のアマチュア、中島啓太は初日「72」の19位タイと好発進だったが、この日、「79」と崩れてトータル7オーバーで予選落ちに終わった。
初日に続いて2日目はさらに風が強くなり、アンダーパーでラウンドしたのは前日の18人から13人に減った。多くの選手同様、日本の若武者二人も苦しい一日となった。「タフになればなるほど、このコースは経験がモノをいいます。たとえグリーンを狙うショットでミスをしたとしても、グリーンのどこに外すかというのが大事になってきます。いかに上りのライン、アゲンストの風を使えるところに外すか。ティショットや2打目もそれを考えながら戦う必要があります」。この経験を生かして来年以降、オーガスタで躍動する姿を見たい。
■今田竜二
いまだ・りゅうじ/1976年10月19日生まれ、広島県出身。テレビで見た「マスターズ」に憧れて、14歳で単身渡米。アマチュア時代の米国ランキングはタイガー・ウッズに次ぐ2位。下部ツアーを経て2005年から米国男子ツアーに参戦。2008年「AT&Tクラシック」で日本人3人目の米国男子ツアー優勝を遂げ、翌09年にあこがれのマスターズに出場した。2022年のマスターズはTBSのラウンド解説を務めている。
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