<ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント 事前情報◇18日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)◇東コース(6804ヤード・パー70)、西コース(6544ヤード・パー70)>
2001年に「マスターズ」で4位、そして同年に国内男子ツアー史上最高額となる2億1793万円で賞金王に輝いた伊澤利光が、主催者推薦で3年ぶりにレギュラーツアーへ出場する。
伊澤の直近のレギュラーツアー出場は、19年の「トップ杯東海クラシック」までさかのぼる。そのときは予選落ちしている。レギュラーツアー通算16勝のレジェンドも、近年は国内シニアツアーに軸足を置いてきた。シニアでは19年に1勝を挙げるにとどまっているが、昨年は11試合に出場してトップ10は8回。今年は2試合に出場して4位、8位とほぼトップ10を外さない。本人は「安定のベスト10ばっかりで優勝はなし」と自虐的に笑う。
全盛期に300ヤードを超えていたドライバーは、54歳のいまは「280〜290ヤード」に落ちた。とはいえ、シニアツアーではかなりの飛ばし屋であることは間違いない。その裏には、「週5、6くらいでスクワットをやったりベンチプレスをやったり。柔軟性も大事なので、ストレッチもやっています」という努力も。伊澤のゴルフへのモチベーションは高い。
「ドライバーはいまの自分の目標としている数字(280〜290ヤード)にはきている。そういう意味では(レギュラーで)戦えない距離ではない。長いなと感じるホールはありますけど、自分のやってきたことは、数字や技術的なことも含めて上手くできているんじゃないかな。(レギュラーの)いい緊張感でプレーができそうなので、楽しみにしています」
久しぶりのレギュラーツアーで自分への期待も高い伊澤の横には、ツアーではいつも見慣れている人物がバッグを担ぐ。普段はシャフトメーカー、グラファイトデザインのツアー担当、高橋雅也氏だ。
「キャディをやってくれる予定だった人が用事で急にできなくなったので、誰かいないかなと探していて、雅也にお願いしたら「いいですよ」と。ゴルフ上手いんだから。その場の空気くらい読める。あとは道具拭いてくれて、ボール拭いてくれて、バッグを運んでくれればあとは大丈夫」と伊澤。普段はツアーで選手たちのシャフトの相談に乗っている高橋氏が、今週はキャディのポンチョを着ることになった。
高橋氏は「日本ミッドアマチュアゴルフ選手権」をこれまでに2度制覇。トップアマの顔も持つ。日本ミッドアマは25歳以上のアマチュア日本一を決める大会で、学生を除いたサラリーマンゴルファーたちの戦いの場だ。高橋氏は昨年の日本ミッドアマでも3位タイに入っており、プロたちからもゴルフの腕前は一目置かれている。
ゴルフの内容が充実している伊澤だが、不安もある。予選ラウンドで1度だけ回る西コースのコーライグリーンだ。「きょうの感じではあまりコーライで良くなかったですね。僕的にはあす(の初日)東コースで頑張って、(2日目の)西コースは2アンダー、3アンダーで回れればいいかな」と話す。
グリーンのラインは伊澤が読む予定だったが、「きょうちょっと迷っていて、あとでそれは(高橋氏と)相談しようと思っている。(西コースのコーライグリーンは)すごく切れるなってところもあれば、見た目通りということもある。きょうも何回か「どう? こんなもん?」みたいなやりとりはしていましたので。これから雅也が『嫌ですよ』って言ったらあれだけど(笑)。『わかりました』と言えば、一緒に読もうかなって。そんな感じです」と、サラリーマンアマ日本一の力を借りたいと考えている。
3年ぶりのレギュラーツアーながら、好調な自分への期待は大きい。「あんまり偉そうに『優勝しか考えてません』とは言いませんけど、本当にベスト10くらいいけるんじゃないか、という準備はしてきた。ゴルフ自体は悪いわけではないので、上手くパッティングが決まってくれれば。ベスト10に入って、次の試合に出たいというのもあります」。
今大会でベスト10に入れば、次週の「ミズノオープン」の出場権利が得られる。54歳の活躍に注目したい。(文・下村耕平)
<ゴルフ情報ALBA.Net>