今週の国内女子ツアーは12試合目の「ブリヂストンレディスオープン」が行われる。昨年大会とはコースが変わり、男子ツアーが行われていた千葉県の袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コースで戦いが繰り広げられる。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
■アウト・インでメリハリがあるメジャー級コース
全長6713ヤードと今季最長を誇る袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コースにはある特徴があるという。「アウトはびっくりするほど長いですが、インコースは短い。メリハリがあります」。それぞれパー36のアウト・インだが、アウトは全長3449ヤード、インは3264ヤードとその差は185ヤード。アウトには400ヤード超えのパー4が4つあるが、インにはわずかに1つ。だからこそ、スコアメイクもいつもとは違ってくると大西氏は話す。
「『アウトは耐えに耐えてパープレー、そしてインで伸ばしていこう』と多くの選手が話しています。アウトで耐えることができれば“ご褒美”が待っているとも言えますね」。男子ツアーにとっては易しめでスコアが出るセッティング(2021年大会を制した杉山知靖の優勝スコアは19アンダー)だが、女子の場合だと距離が長いこともあって一転、難しいセッティングになる。バーディ合戦というよりは、ガマン比べの戦いとなりそうだ。
■重要なのは“総合力”
「飛ばしあいやパターが入れば優勝に近づく」というコースが最近は続いていたが、今回はそうはいかない“メジャー級”のセッティングだ。距離が長いためティショットではフェアウェイをキープ、小さくて硬いグリーンに乗せるセカンドショット、カバーするアプローチ、チャンスがきたときに決められるパター。ドライバーからパターまで「ワキを締めるようにスキを作らないようにしないといけない」とその攻略の難しさを語る。
求められるのはショットだけではなく、マネジメントも含めた“総合力”。「一打一打の細かい技術が必要です。選手のみなさんにはあらゆるものを出し尽くして4日間を戦ってほしいですね」。常に気を張ったプレーになると展望を描いた。
■今季日本ツアー初戦を迎えるこの選手!
そのなかで「やはり注目です」と力強いトーンで大西氏が名前を挙げたのは渋野日向子。今季は米ツアーメンバーとして戦い、4月の海外メジャー「シェブロン選手権」では4位、続く「ロッテ選手権」2位でフィニッシュ。シーズンを終えてポイントレース80位までに入ると得られるシード権をほぼ確実なものとして、日本ツアーに一時帰国して出場する。
青木瀬令奈と親交も深く、大会前の火曜日には一緒に練習ラウンドを行った。ラウンド中の様子を間近でみた大西氏は「海外で培ってきた技術を手に、頭からツマ先までいい状態にあります」と話す。ショットの精度アップはもちろんのことだが、渋野のプレースタイルにも変化を見た。
「マネジメントやそれこそハートの部分でも、一打に対する“持っていき方”が変わりました。『変化の先に進化あり』とよく言いますが、まさしくそれです。4日間で去年とは違った変化の部分がよく見られると僕は思います。そしてまだまだこれからも進化していくでしょう」
■耐えてチャンスをモノにするといえばあの選手も
“総合力”という面でみれば、ツアー26勝、うち国内メジャー5勝の“小さな巨人”申ジエ(韓国)と、西村優菜の名前も挙げた。「まさに申ジエ選手に向いているコースです。逆目、深いラフ、ロブでも寄せることができる引き出しの多さがあります。西村選手も含めてふたりとも、スプーンでもグリーンに止まるカットボールを打つことができる。まさに総合力がある選手たちです」。
西村については今季は最終日最終組で2度プレーし、すでにトップ10には5回ランクイン。だが優勝まではあともう一歩届かず、今季初優勝が待たれる。そんな西村に大西氏はこう付け加えた。「耐えるときに耐えて伸ばせるときにしっかり伸ばすことが重要になるこのコースは、西村選手の良さを引き出します。そして闘志もより引き出されるのではないでしょうか」。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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