今週木曜日に開幕する「AIG女子オープン」(全英)の舞台、ミュアフィールドは1744年に創設された名門プライベートコースで、世界最古の会員制ゴルフクラブ「ザ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」を有する。過去、男子の「全英オープン」が16回開催されてきたが、女子のメジャーは初。実は2017年まで273年間「女人禁制」を貫いてきたのだ。
全英オープンを主催するR&Aは、「女性の入会を受け入れないクラブで全英オープンを開催することはない」とし、ミュアフィールドを開催コースのローテーションから一度は外したため、13年を最後にミュアフィールドで全英オープンは行われていない。しかし、17年に女性会員の受け入れを決定し、ミュアフィールドは再び全英オープンのローテーションに戻ってきた。
ミュアフィールドはどんなコースなのか。02年と13年にミュアフィールドで行われた全英オープンに出場し、どちらも予選通過を果たしている片山晋呉に話を聞いた。
「男女差別がすごい印象があります。全英女子オープンを初めてミュアフィールドでやることが歴史的ですよね。僕も1回目(02年)はわけもわからず行って、2回目(13年)はミュアフィールドの知識もつけて行きました。そうしたらいろんなことがわかってきた」
1つは名門だからこその敷居の高さだ。「いろんな人に『あんなところは一生回れないよ』って言われましたね。あと実際に回った人の話で、(スコアが)100くらいだと思われると、フェアウェイから打つときにキャディさんにマットを敷かれて、『あなたは芝から打つな』って言われるんですって」。日本でも、『短パンにはハイソックス』といったドレスコードに厳しい名門コースはあるが、ゴルフがあまり上手でないゴルファーにマットを敷くという話は聞いたことがない。
また、全英オープンのローテーションになっている同じスコットランドのコースでも、セント・アンドリュースやカーヌスティは、外から中の様子がわかり、プレーしていなくても公園感覚で入ることができる。それに対してミュアフィールドは、外から中の様子はほとんど見えず、勝手に入ることはできない。
もう1つはやはり、女子を受けいれる体制がなかったこと。「当然女子ロッカーはなかったですし、もちろん女子トイレはありませんでした」。しかし、男子ロッカーにもトイレは3個しかなかったという。ここで片山は大きな問題に直面している。
「昔の古いトイレなので、当然ウォシュレットは付いていません。紙を使うわけです。トイレを流すタンクが上にあって、それを引っ張ると上から水が出てくる方式。一回流したら、水が貯まるのにすごく時間がかかるから、トイレに20分くらいかかるんですよ(笑)。しかも3つしかないから、朝は大渋滞です。もう改修されていると思いますけど、当時スマホを持っていたら動画を撮りたかった」
年間何億円も稼ぐ世界のトッププロたちが、なかなか空かないトイレを待っているのを想像すると、ちょっとかわいそうだ。でも140人を超える女子選手が出場する今回のミュアフィールドでは、この問題が解決しているに違いない。
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