インドネシアのジャカルタで開催された招待試合の「シモーネ・アジアパシフィックカップ」で姉の渋野日向子とペアを組み、プロの試合に初出場したアマチュアの暉璃子(きりこ)さん。300ヤード級のドライバーショットを見せるなど、ポテンシャルの高さは姉も太鼓判を押す。使うクラブも気になるところ。ティーチングプロ兼クラブフィッターのQPこと関雅史がクラブセッティングを解説する。
現在、明治大学2年生の暉璃子さんは、大学卒業後はプロテストを受ける予定。姉の練習についていく形で6歳からクラブを握っているが、小学生の頃はソフトボール、中学生になってからは勉強に主軸を置き、小学生の頃からプロを目指すジュニアゴルファーとは違う道を歩んできた。
2019年、高校2年の頃に意識が変わる。姉の日向子が「全英AIG女子オープン」で海外メジャー制覇。現地で姉がスポットライトを浴びるところを目の当たりにしたことで「ゴルフをやってみようかな」と本腰を入れてプロゴルファーの道を志すようになった。そして自己推薦で明治大学に進み、人生で初めてゴルフ部に所属している。
ジュニア時代は目立った成績もなくゴルフ界では無名の存在だったが、「私より30ヤード以上飛ぶ」と姉の日向子がいうように、ジャカルタでは終始、姉をアウトドライブ。時には290〜300ヤードのショットも見せた。「トレーニングしていなくてこの飛距離。スイングもきれいでうらやましい。まだまだ野生の勘でやっているから、これから“勉強”していったら私よりすごくなる」と姉の日向子がうらやむポテンシャルを持っている。
暉璃子さんがジャカルタで使った14本を見ると、「お姉さん(日向子)の影響が大きいんでしょうね」と、ドライバーは『G410 PLUS』、アイアンは『i210』など姉と同じクラブで揃える。「アドレスとか骨格とかは姉妹なので似ていますが、スイングは少し違います。ダウンスイングからインパクトにかけて左サイドで受けてヘッドを走らせ、ドローボールで飛ばしに特化したスイング」と分析するQP。
ドライバーのシャフトは『テンセイ オレンジ60S』、アイアンのシャフトは『モーダス3 ツアー105 S』を使うなど「飛ばし屋の女子プロ並み」のスペック。また、ロフト17度の2番ユーティリティや4番アイアンを入れており、「ヘッドスピードを考えたら安定感を出せるクラブです。ドローヒッターは球が高くなりやすいので、クラブにボールを上げることを求めていない印象です」。自分のパワーやスイングに合わせたチョイスになっている。
そんななか、QPが注目したのはウェッジ。ピンの「グライド3.0」を46度、52度、58度と6度刻みで入れている。「100ヤード以内を重視するなら4度ピッチを採用するケースが多いです。100ヤード以内の打ち分けに自信があるように感じます」。
さらに、やさしいウェッジというのは一般的にグースが入ったものを言われるが、『グライド3.0』はストレートネック形状だ。「フェースローテーションが大きい人は、グースが強めのウェッジだと引っかかりやすくなります。暉璃子さんはそれを分かった上で、3.0を選んでいる辺りがセッティングの妙ですね」。飛距離が出るだけに、パー4の2打目でウェッジを使用する機会が多く、しっかりコントロールできるモデルを選んでいる。
【渋野暉璃子さんのクラブセッティング】
1W:ピン G410 PLUS (9度/テンセイ CKプロ オレンジ 60S)
3W:ピン G425 MAX (14.5度/テンセイ CKプロ オレンジ 60S)
2U:ピン G425 MAX(17度/ピンツアー173-85 S)
4I:ピン G425クロスオーバー(ピンツアー173-85 S)
5I〜PW:ピン i210(N.S.PROモーダス3 ツアー105 S)
46、52、58度:ピン グライド3.0(N.S.PROモーダス3 ツアー105 S)
PT:ピン 2021 アンサー2
BALL:タイトリスト プロV1x
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