<全米プロゴルフ選手権 最終日◇12日◇ベルリーブCC(7,316ヤード・パー70)>
「全米オープン」を2度制覇した男はやはり強かった。今季の男子海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」でカップを掲げたのは、トータル16アンダーまで伸ばしたブルックス・ケプカ(米国)だった。
2位以下に2打差をつけてスタートしたケプカ。出だしの1番でバーディを奪ったものの、4番で3パット、さらに5番は右手前のバンカーに入れて連続ボギーと後続にスキを見せてしまう。
だが、ここから意地を見せた。7番から3連続バーディを奪いもう一度リードを広げると、アダム・スコット(オーストラリア)に後半並ばれたが、15番、16番と連続バーディで再び突き放す。残り2ホールはしっかりとパーを並べて、記念すべき100回目のチャンピオンに輝いた。
「未だに信じられない。非常に満足しているよ。2つのボギーを叩いて、バーディを奪う必要があると思った。そんな中、3連続でバーディを奪うことができて勢いをつけることができた。それでもスコッティ(スコット)が追いついてきた。とても厳しい戦いだった」と笑顔を見せたケプカ。16番パー3で2mにつけたティショットを自画自賛し、「ピンにレーザーのように飛んでいってくれた。これまでの僕のゴルフ人生のなかでのベストショットの1つになるだろうね」と勝負を決めた1打に挙げた。
10年ぶりにメジャー制覇を目指して猛追してきたタイガー・ウッズ(米国)については「タイガーと争うのは初めてだった。タイガーに対するギャラリーの声援も聞こえてきた。面白かったね。みんなタイガーを応援していたと思う。彼のカムバックはすごい」。ケプカもタイガーを見て育った選手の一人だ。「僕らの世代でゴルフをしている人は、みんなタイガーに憧れたからだと思う。今日の状況は夢にも思わなかったよ」。
また、ケプカはスコットのファンでもある。「彼は最高のゴルフスイングを持っていると思う。見ていてとても素晴らしい。そして今まで会った中で一番の“いい人”。本当に素晴らしい選手」。そんな2人に競り勝てたのはさらなる自信となるだろう。
この勝利で1922年のジーン・サラゼン、48年のベン・ホーガン、80年のジャック・ニクラス、00年のタイガー・ウッズ(いずれも米国)に続く同一年度に「全米オープン」と「全米プロゴルフ選手権」の両方を制した選手となった。偉大な選手4人と肩を並べたアメリカが誇る長距離砲。まだまだ進化は止まりそうにない。(文・秋田義和)
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