<フジサンケイクラシック 最終日◇2日◇富士桜カントリー倶楽部(7,566ヤード・パー71)>
プロ転向からちょうど2年。“期待の新星”といわれ、今か今かと優勝が待たれていた星野陸也が、ようやく悲願のツアー初優勝を手にした。
【写真】家族と涙ながらに優勝を喜ぶ星野
後続の重永亜斗夢が6バーディを奪い追い上げを見せてくる中でも、星野のペースは乱れなかった。前半を1アンダーで折り返すと、10番パー4では、グリーン横のラフから放った25ヤードを直接沈めてバーディ。ここからさらに勢いをつけ、その後も4つのバーディを奪取。一度も追いつかれることなく、後続に5打差をつけての圧勝だった。
星野の強さは、その研究熱心さにある。茨城県の水城高校、日本大学時代の2学年上の先輩、松原大輔はそのひたむきさを語る。「“ゴルフ脳”がすごい。人のスイングを見て、どういう打ち方、どういうクラブの使い方をしているかの分析をして、それをどう自分のものにできるかをものすごく考えていると思う。僕が思っている、上のまた上をいっていると思う」。高校入学当初から強さの片鱗を見せていたというが、プロになってからも、探究心と向上心が、技術にさらに磨きをかけた。
それでも、ここまで何度も優勝を視界に捉えながら追い切れなかった。「足りなかったのは、経験」と、優勝を切望した日々を振り返る。4月の「パナソニックオープン」では優勝争いを経験し、6月には海外メジャー「全米オープン」の舞台にも立った。8月には、ツアー外競技ではあるが「札幌オープン」で優勝と、積み重ねてきたものが、この日の優勝争いで一気に開花した。
今季はシーズン開幕前に2つの目標を設定。「ツアーで1勝することと、メジャーに1試合出ること」。見事に有言実行を果たしたが、すでに次を見据えている。「いずれは賞金王も狙いたいし、いつかはマスターズに挑戦したい。そのためには体づくりや、それを生かせるクラブも考えないと。毎日が、全部勉強です」。ますますゴルフへの貪欲さを見せる。
ゴルフ一辺倒かと思いきや、いったんコースを降りてしまえば“プロゴルファー”の顔は姿を潜める。「いやー、よかった…!本当によかった…!」。待ち構えていた記者からも笑いがこぼれるほどの、素直な笑顔。ダイナミックなプレーだけでなく、そんな素直な人柄でもファンを魅了してくれそうだ。(文・谷口愛純)
<ゴルフ情報ALBA.Net>