<アジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフ 最終日◇23日◇武蔵カントリークラブ 笹井コース(7060ヤード・パー71)>
サロンでマッサージを受けるプロゴルファー。施術をするのは美女かと思いきや…、振り返れば、そこにはタイの巨漢、キラデク・アフィバーンラトが満面の笑顔で立っていた。
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アジアンツアーのホームページには、こういった選手を使ったユニークな動画がいくつも掲載されている。実はこれ、ツアーをPRするための大事なプロモーション動画だ。「アジアンツアーは、色々おもしろいんです。選手がロッカーの掃除をしている動画とかもあって、“僕たちが作り上げたツアー”というのをうたっている」。そう語る片岡大育は、昨年の「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」優勝でアジアンツアーのシード権を獲得。今年はアジアンツアーと欧州ツアーを転戦している。
片岡自身も、「明日のスター」という選手のプロモーション動画につい先日登場していた。このシリーズ動画は、アジアンツアーから経験を積んで活躍する、各国の選手を取り上げた30秒ほどの短い作品。これが、アジアンツアーの重要なマーケティング戦略のひとつとなっている。
「スポンサーに選手たちをアピールする重要な機会。アジアンツアーは、地域のスポンサーとつながることを大切にしています」と語るのは、アジアンツアーのチーフ・オペレーティング・オフィサー、チョ・ミンタン氏だ。
米ツアーや欧州ツアーでは、テレビの視聴率や、どれだけスポンサーにバックがあるかを重要視する傾向があるという。一方でアジアンツアーのスポンサーは、自分がバックアップする選手や自分の国の選手が、どれだけ活躍するかを重視するのが特徴。ツアー自らさまざまなスター選手を発信していくことで、スポンサーや各国の注目度、満足度を上げることにもつながるのだ。
日本だけでなく、欧州、韓国、南アフリカ、日本と世界各地のツアーと共同で大会を行っているアジアンツアー。2018年シーズンは31試合のうち、16試合が他ツアーと共同で行う試合となっている。世界中とつながることができるのは、こういった地道な取り組みがあるからだろう。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)も、昨年からインスタグラムを使ってPRを開始。選手どうしの楽しげな会話や、大会中のインタビューを動画で発信するなど、普段見られない選手たちの素顔をのぞくことができる。約2万人がJGTOのアカウントをフォローしており、注目度も上々だ。その中で「選手の魅力発信」から「ツアーの発展」にどうつなげていくのか。
関係者によれば、来年10月には米ツアーの日本開催の可能性が示唆されている。こういった機会を増やし、日本から海外への間口を広げるためには、ツアーや選手の価値を知ってもらうことも重要。しかし、そこで終わってはいけない。本大会のような機会で、プレーだけでなく運営面でも世界レベルを学ぶ必要がありそうだ。(文・谷口愛純)
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