今日、幕を開けた「マイナビABCチャンピオンシップ」。10年前、2008年に17歳46日という日本ツアーのプロ最年少記録でプロ初優勝を挙げた大会で、石川遼は今年はどんなプレーを披露するのか。
【写真】ウォーターショットを披露したABCゴルフ倶楽部の名物・18番
2008年大会といえば、最終日、最終18番ホールで石川が見せたウォーターショットが記憶に新しい。18番パー5は、ホールの右側に大きな池が待ち構えるABCゴルフ倶楽部の名物ホール。石川はラフから打ったセカンドをグリーンに乗せることができず、ボールはグリーン手前の斜面を転がって池へ。水面からわずかにボールの頭が見える状態でウォーターショットに挑戦し、水しぶきとともに脱出に成功。3mほどのパットを決めてパーセーブ。首位との3打差をひっくりかえして優勝という、劇的なプロ初勝利を収めた。
その後も08年から12年まで5年連続で同大会に出場し、すべてトップ10入り。13年の米ツアー参戦後、久々の参戦となったのが昨年。国内復帰3試合目に「いいきっかけをつかみたい」と臨んだが大会では自己ワーストとなる予選落ちとなった。
そこから1年、試行錯誤を続け、今季はトップ10入りが4度とじわじわと成果が現れてきた。「自分としては、望んだようなシーズンの進み方ではなかったけど、感触がよくなっているというのとともに、スコアや順位がついてきてくれている」と、自信にもつながっているようだ。
具体的に昨年から変わったのが、ボールコントロール。4位タイに入った先週の「ブリヂストンオープン」では「今までマネジメント以前のショット力を年明けから磨くのに必死だった。ストレートボール自体がきれいに打てていない感じがあったが、それがKBCオーガスタくらいから、コントロールされたストレートが打てるようになってきて、そこからドローやフェードが打てるようになってきた」と好感触を明かした。同大会では、平均パット数が2日目に91位(1.9231回)、3日目に57位タイ(1.9231回)と得意のパターが振るわなかったが、2日目に「67」、3日目に「69」をマークして首位と3打差で最終日を迎えたのは、ショットの向上が現れているからだろう。
さらに、今週活躍が期待できる要因がもうひとつ。先週の袖ケ浦カンツリークラブ 袖ケ浦コースはグリーンの傾斜が少なく、センターに乗せればある程度のチャンスにつきやすい、いわゆる狙いやすいグリーン。逆を言えば、ターゲットが広いためアグレッシブになりづらく、攻める位置が曖昧になりやすい。先週「ショートアイアンの方向性がうまくいかない」と口にしていたが、そういったコースの特性との相性も影響していたのだろう。
対して、今週はツアー屈指の高速グリーン。先週と変わって落とす場所を正確に狙う必要があるため、石川が誇る高精度のアイアンショットは重要なカギとなる。持ち味を存分に生かせるコースが、同大会での好成績を生んでいるのかもしれない。これまで数々のスーパープレーで観客を魅せてきた石川。今年も劇的な展開を期待しつつ、着実なプレーで昨年の挽回といきたいところだ。
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