<大王製紙エリエールレディスオープン 最終日◇18日◇エリエールゴルフクラブ松山(6525ヤード・パー72)>
いつか聞かなければならない、と思っていたことがある。
【写真】女王戴冠を決めてご満悦のアン・ソンジュ
アン・ソンジュ(韓国)の考える“勝負強さ”についてである。何故なら、今シーズン序盤の「ヤマハレディース」には首位から出て逆転され(逆転したのは他でもないソンジュなのだが)、「フジサンケイレディス」では永峰咲希にプレーオフで敗れた菊地絵理香に対して、仲の良いソンジュは「もっと勝負強くなりなさい」という言葉を送っていたからだ。
はたして“勝負強さ”とは何なのだろうか。そんなソンジュが「大王製紙エリエールレディス」でついに4度目の賞金女王戴冠を決めた。聞くならばここしかない。そう思い、聞いた。あなたの考える勝負強さとはなんですか、と。
「勝負強さですか…」と言って口を開いた。「(前回女王を獲った)4年前は怖さがなくて前だけを見たゴルフをしていたけど、今のゴルフは絶対バーディを獲らなければいけないところで獲る、絶対スコアを落としちゃいけないところで守る。それができたから今年は良かったと思う」と“ここ一番”での集中力が勝負強さ、ひいては結果に結びついていると説明した。
ここからが本題。なぜ、それができたのか。「勝負強さというよりは…」としながらも次のように語った。
「相手の選手云々ではなく、自分自身をまずは超えないと誰にも勝てない。自分自身を超えるように頑張った結果が、良い方向にいったんだと思います」(ソンジュ)
なるほど、と思えた。筆者から見るに昨年までの彼女はどこか諦めやすいというか、気持ちが切れたように見える場面も少なくなかったからだ。それが彼女のウィークポイントのようにも感じていた。だが、今年は変わって見えた。明らかに粘り強さが増したのである。
賞金女王を決定づける5勝目を挙げた「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」がまさに典型だった。5打差の首位から出たものの、前半だけで4つ落とす大乱調。ましてや、その前週には自分のミスで優勝をあと一歩のところで逃していた。それでも気持ちを切らさず、「今週は“人間がやることではない”と思うくらい大変でした(笑)」と負けそうになる自分に打ち勝ち、勝負どころを抑えて栄冠を掴んだのだ。
自分に勝つことが、結果として勝負に勝つことにつながっている。ソンジュが盟友に送った言葉には、「弱気や諦めそうになる自分に負けてはダメ」というメッセージが込められていたように感じた。(文・秋田義和)
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