今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第8回は「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」など4勝を挙げた申ジエ(韓国)。悲願の賞金女王はならなかったが、史上初となる公式戦年間3勝を成し遂げた。そんな30歳を迎えてなお円熟味を増すスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
究極のオンプレーン 申ジエのスイングを連続写真で見る
今季パーオン率1位、フェアウェイキープ率6位、ボールストライキング(トータルドライビング順位とパーオン率順位を合算したショットの上手さを計るランキング)で3位と、ショットに関するスタッツで上位を総なめ。常々「得意クラブは14本です」と公言しているジエだけあって、ショットに関するスキは一切なかった。
14本に共通していえることが、ボールと自分との距離が近いこと。「これでもか、というくらいボールに近づいてアドレス。テークバックからクラブを立ててあげて、リストと腕を柔らかく使いながら縦に振り下ろしている。究極のオンプレーンスイングがジエさんの持ち味です」。ちなみに、このボールとの近さはパッティング時も変わらない。
「上げてから下ろして、そしてフォローまで両ヒジとか手元が暴れない。要はオンプレーンということなのです。一見、後ろから見るとアウトサイドに上がっているように見えるのですが、ジエさんの手元は常に体の正面にあるため、クラブが外回りしているわけではありません」。ボールと体が近いため、腕の動く範囲が限られてクラブの通り道が一つになる。それを利用して再現性を高めているのである。
手を使わないからこそ、常にヘソの前、つまり体の正面にクラブヘッドがある状態を作れる。「体の中心からスイングプレーンが外れない。それで体の正面に手元があるため、ヘッドも常に連動してオンプレーン。だから体を使った振りとなる」。こうしてムダがないシンプルなスイングのできあがり、というわけだ。
オススメの練習法は3時から9時の振り幅で打つハーフショット。「全ての面で高い技術を誇るジエさんですが、一番は体の正面で球を打つことができること。基本的なことですが、そこがツアーで一番うまくできているということなんです。ボールにできる限り近づいてハーフショットで体の正面で打つようにすることが、ジエさんのスイングへの第一歩です」。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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