独特なスイングで注目の的となったのが、“虎さん”ことチェ・ホソン(韓国)。インパクト後にくるりと回るコミカルな動きから“変則スイング”として話題となったが、その実力は「カシオワールドオープン」の優勝でも証明されている。ダイナミックな動きが注目されがちだが、そのすごさはどこに隠されているのか。原江里菜、福田真未らを指導する森守洋コーチが解説する。
“変則”ではない!くるりと回る理由を連続写真で徹底分析
「変則といわれていますが、体が硬いアマチュアのかたなどは参考にすべきスイングなんです」。そのポイントとして挙げたのが、インパクトからの体の動き。「一般的に、年を重ねると関節が硬くなったり、体が動かなくなる。そうすると、スイングの途中でストッパーがかかってしまうんです。ホソン選手がくるりと回転しているのは、この“ストッパー”をかけないように力を逃がしているからです」。
頭を中心として振り子のようにクラブを振り下ろしてくるが、体が硬いと、左サイドの回転がストッパーがかかったように途中で止まってしまう。「それを止めないために、左足を軸として一気に回っている。ここまで回る選手はいませんが(笑)、プロの選手でも、腰痛になったりすると結構やっている動きなんです」。
加えて特徴的なのが、左足に体重が乗ったアドレス。一般的にはテークバックからバックスイングで右足に、ダウンスイングで左足に体重移動を行うが、テークバックで左足に重心を乗せたまま状態を回転させることで、体が硬い人でも深い捻転をつくりやすくなる。「間接に制限がかかってきたときの策ですね。ホソン選手はゴルフを始めた年齢も遅かったので、自分で編み出したスイングでしょう。見事な動きです」。
解説・森守洋(もり・もりひろ)/1977年2月27日うまれ、静岡県下田市出身。高校時代にゴルフを始め、1995年に渡米しサンディエゴにて4年間ゴルフを学ぶ。2002年よりレッスン活動を開始し、現在は「東京ゴルフスタジオ」を主宰し、多くのアマチュアをレッスンする一方で、原江里菜らツアープロのコーチもしている。
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