今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第12回は、今季3勝を挙げ、獲得賞金1億円超えを果たした成田美寿々のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
獲得賞金1億円超の成田美寿々 トップでの一瞬の“静”に注目【連続写真】
アスリートとして一番アブラがのった時期に、キャリアハイを更新した26歳の成田。ドロー、フェード、高い球、低い球を自在に打ち分ける能力は、「今の日本選手ではいない」と辻村氏も目を見張る部分だ。
そんな成田のスイングで、辻村氏が最初に「ここがいい」とうなったのがトップ直前のバックスイングでの形。
「首と肩の角度が90度の時に、まだシャフトと腕も90度という関係がいいですね。多くのアマチュアは、首と肩が90度の時には、すでにシャフトは頭の方にスッと向かってしまう。しかし、成田さんのような形になるというのは、体の捻転で上げられている証拠です。腕が地面と平行になるこの時にナイスショットかそうでないかが、決まってしまいます」
さらに成田のスイングで注目すべきは、その後のトップにもあると辻村氏は話した。
「成田さんの調子の良し悪しは、ここで分かります。いい時は、トップの位置で、シャフトからヘッドがブレることなくピタッと決まります。ここが決まらないと、どうしてもヘッドが垂れてしまう。しっかりとヘッドが止まることで、最短の距離でダウンスイングに向かうことができ、体の重さをしっかりと球に伝えることができます」
辻村氏は、このトップでシャフトがブレずに、ヘッドがピタッと止まる状態を「トップでの一瞬の“静”」と表現した。「クラブを停止させるということではありません。シャフトがブレずにダウンスイングに向かうことで、体とクラブが一体のスイングが可能になります」。これが成田の強い打球を生み出すヒミツになっている。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>