野村敏京が好調だ。米ツアー3勝で2016年リオ五輪では惜しくもメダルを逃したものの4位という実績を持つ。その後、腰痛で昨年後半を棒に振っている。しかし、米ツアーシーズン2戦目のISPSハンダ・ヴィック・オープンでカムバック。いきなり5位の活躍を見せた。そして、次のISPSハンダ・オーストラリアン女子オープンでも4位に入った。
カピバラに逃げられた野村敏京【写真】
2週間でロレックス(女子世界)ランキングは183位から39位にジャンプアップ。ツアー4勝目もそう遠くない勢いを見せている。
ここで気になるのが、来年の東京五輪日本代表だ。リオ同様男女それぞれ60人が出場する個人戦で行われる東京五輪ゴルフ競技の出場資格は、女子の場合、同年6月30日時点のオリンピックランキングによって決まる。まず、上位15名、各国4人以内の選手が選ばれ、次に16位以下で各国2名以内となっている(以下、割愛)。
オリピックランキングのベースにあるのは、ロレックスランキングだ。昨年7月第2週からのポイントによるため、昨年後半プレーしていない野村は圧倒的に不利。現在はトップ60に入ってもいない。現在、日本勢のトップは6位の畑岡奈紗で、18位の鈴木愛がそれに続いている。だが、復調した野村の勢いなら、どんどんランキングを上げてくる可能性は大きい。
日本で行われる五輪に出場できる千載一遇のチャンスとあって、日本の女子プロの中にも、オリンピック出場への思いが強い者は多い。ゴルフが112年ぶりに五輪に復帰したリオの時は、激しい代表争いの末、野村と大山志保が代表となった。宮里美香は最後の最後で涙を飲み、五輪への思いが人一倍強い成田美寿々も、この年、不調で出場できなかった。代表2枠(もちろん、日本人がもっとランキング上位に行ければ4枠あるのだが)のカベは、想像以上に高い。
ロレックスランキング(=オリンピックランキング)は、男子の世界ランキングとほぼ同じ。対象となる各大会のレベル(メジャーか否か、ツアーのレベル、出場選手など)に応じてポイントが決定され、順位によって加算される。過去2年間のポイントがカウントされるが、中でも直近13週間のものが重要視される。ランキングは、総獲得ポイント数を、その間の出場試合数で割ったものとなっている。オリンピックランキングは、昨年の7月からのこれに特化し多物というわけだ。
ここまで読めばわかるかもしれないが、そうなると、メジャーで上位に行くのが一番ポイントが稼げるということになる。それだけの力を持っている選手なら、日本ツアーを主戦場にしているより、メジャー出場の機会がより多く、実力者と戦う機会も多い米ツアーに腰を据えた者の方が有利だということがわかるだろう。
若手の台頭が著しく、入れ替わりの激しい女子の世界では、1年後のことを予想するのはなかなか難しい。だが、ツアーと違い、出場が限られるオリンピックに関しては、これからの1年間が本当の勝負。野村のカムバックにより、日本代表争いはそれだけ厳しくなったことになる。3月開幕の日本ツアーを待たずに、すでにポイントを荒稼ぎしている野村。日本ツアー勢も、これを意識しないわけにはいかないだろう。(文・小川淳子)
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