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タイガー・ウッズの大会5勝目はある？ない？【レジェンド中嶋常幸のマスターズ】

まもなく「マスターズ」が開幕。春の訪れを告げる華々しい大会として長くゴルフファンの心に刻まれてきたマスターズとはどんな大会なのか。同大会を放送するTBSの解説も務め、自身もマスターズで過去8位の成績を誇る中嶋常幸に、今度はタイガー・ウッズ（米国）について聞いてみた。
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――タイガー・ウッズの昨年のカムバックと今年の可能性について聞かせてください
メジャーを勝たないと復活と言われない人は他にいないし、こんなにスゴイことはない。普通、何かに勝ったら復活だと言われるけど、十分彼は頑張ってくれているし、存在感というか、彼がいるだけでゲームが引き立つというか注目される。そういう意味では、僕自身の正直な気持ちを言えば、タイガーに点数をつけてくださいと言われれば、全盛期を100点とすると、今の彼は20点だと思う。彼自身、それくらいの不満があると思う。でも、彼の20点というのは、他の優勝争いをする人に比べてもそん色がない点数。彼が30点、40点、50点の点数できたら、圧倒的本命になってくる。
20点だとしても、その20点でも彼はやってくれる存在。彼の全盛期、100点の時はミラクル。魔法。タイガー・マジックだった。そこから比べるとこれは仕方ない。年齢だって40歳を超えているし、体の各部分も老化が始まっているわけだし。戻れと言っても無理な話。でも、タイガーだから。
去年インタビューでベン・ホーガンの話を出したのだけど、ホーガンも腰の骨を折って、二度とゴルフができないといわれる状態になった。それでもホーガンは復活して、ものすごく強い選手になって戻ってきた。タイガーも、二度とゴルフができないんじゃないかと思う不安はホーガンと同じように持ったと思う。そのゴルフができないと思われたタイガーが戻ってきた。それだけではなくて、素晴らしい優勝を見せてくれた。これだけでも十分に復活。
だけど、回りはメジャーに勝ってこその復活だと言う。それはタイガーも痛いほどわかっている。だからタイガーはマスターズに向けて熱い気持ちで入ってくる。自分がメジャーを勝つところを見せたい。それがオーガスタならなおのこと最高というわけ
――そんなタイガーがいると雰囲気は変わるのか
そんな簡単な話ではないと思う。みんなオーガスタで勝ちたいと思って入ってくるし、みんなそれぞれ人生のドラマを持って、いろんな思いを持って戦いに来るんだ。それでも十分見応えのあるものになるし、もちろんそこにタイガーが絡んでくれればうれしいことはうれしいし、パトロンもメンバーも、タイガーが優勝に絡んでくることで、よりいっそう盛り上がるね。その思いと思いのぶつかり合い、それが織りなす熱い戦いが、誰が勝っても、『今年のマスターズはよかったね』と思えるようになるんじゃないかな
――ずばり優勝の可能性は？
20点だとしても、少なくとも対抗レベルの中には入ってくるよね
中嶋常幸（なかじま・つねゆき）
1954年10月20日生まれ、群馬県出身。父の英才教育によりジュニア時代から全国に名前が知れ渡った中嶋。73年の日本アマを当時の最年少18歳で制覇。75年にプロ入りすると、翌年初優勝。数々の記録を打ち立てた。88年の全米プロでは日本人最高位となる3位。メジャー4大会ですべてトップ10を果たした最初の日本人選手となった。マスターズには過去11回出場し、86年には8位に入っている。日本通算48勝。2019年には日本プロゴルフ殿堂入りを果たしている。静ヒルズCC所属。
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