毎週、ゴルフツアー会場で選手たちを撮影し続けるプロカメラマン。インサイドロープでプロゴルファーの凄みや熱気を感じ、ときおり会話のやりとりを見聞きするなど、“試合中の選手たちに最も近いメディア”であるツアーカメラマンが見た印象的な景色を紹介する。【マスターズ編】
岩本カメラマンが一喜一憂しながら撮影した歓喜の瞬間がこちら【大会フォト集】
2019年のゴルフ界を振り返った時、確実に大きなインパクトの一つになるであろうできごとが4月14日に起こった。それは、もちろん「マスターズ」でのタイガー・ウッズ(米国)の復活優勝だ。その瞬間を現地で撮影していた岩本芳弘カメラマンは、「タイガーの優勝という感動的なシーンで幕を閉じましたが、その中でも最終日最終組の18番ホールはカメラマンの私にとって一喜一憂するハラハラドキドキの連続でした」と興奮気味にラストシーンを振り返った。
465ヤードの18番パー4。最終日のウッズは、ここでティショットを右フェアウェイに置き、残り169ヤードのセカンドショットはグリーンの右手前に着弾した。この時、グリーン右サイドのフォトエリアで待ち構えていた岩本カメラマンは、これを見て「パーパットは背中から撮影することになりそうだな…」とガッカリ。多くのパトロンに囲まれたグリーンで、さらにカメラマンですらコースに入れないマスターズでは、この位置から移動するのは不可能とあって、そんな思いで頭がいっぱいになった。
その後、岩本カメラマンが“想定”した通り、三打目のアプローチは手前からカップを越えることはなく、ファインダーに写るのは、これから歓喜の瞬間を迎えるであろう男の背中だった。しかし、その後のパーパットを外したことで状況は一変。ウッズが岩本カメラマンに正面を見せる位置で、ボギーパットを打つことになった。
「キター!!ウイニングパットを決めて軽いガッツポーズ!撮れた!!!」
カメラマンとして至福ともいえる光景をおさめることに成功した…のだが、その後ウッズがクルリと回転。あの両手を挙げてよろこびを爆発させたシーンは背中向きとなるショックな展開が待ち受けていたのだった。
「必死になってその後も撮影をし続けて撮った写真がこの1枚でした。うーん、いい表情!ありがとうタイガー!みんなに愛される理由が改めて分かった瞬間でした!」
様々な感情が渦巻いた18番グリーンだったが、最後は一人のゴルフファンとして、歓喜の瞬間に酔いしれた岩本カメラマンだった。
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