<アジアパシフィック ダイヤモンドカップ 初日◇9日◇総武カントリークラブ 総武コース(千葉県)◇7333ヤード・パー71>
出場144人中、アンダーパーが12人。日本とアジアのトップ選手がそろっても、12人にひとりの割合。林間コースに狭いフェアウェイ、元気な新芽のラフに硬いグリーンとくれば、ガマン大会は必至。そのうえ、強風がコースに吹き付け、なおさら難易度は増していった。
年代物のFWが存在感バツグン!手嶋多一のセッティング【写真】
そんなコンディションだからこそ、ベテランの味が生きた。2位タイの池村寛世や4位タイの浅地洋佑、9位タイにつけたアマチュアの米澤蓮らは20代前半だが、トップ12内には40歳オーバーが4人。最年長はシニアツアー絶対王者のプラヤド・マークセン(タイ)で53歳、「全米プロ」覇者のY・E・ヤン(韓国)が47歳、国内開幕戦を制したブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)が44歳。そして、昨年の10月に50歳になった手嶋多一だ。
「朝は風がなかったのでラッキーだと思います。10番で3メートルくらいのパーパットが入ってくれたので良かったです」と、その後もベテランらしくしぶといゴルフをみせた手嶋。さすがに後半は風も吹いてきたが、「僕は硬いグリーンが好き。手前から攻めないといけないし、いろいろと考えないといけないから、飛距離はあまり意味をなさない」と、経験と技でスコアメイクした。
2グリーンのためひとつひとつのグリーンが小さく、ましてや硬いとあれば、リカバリーも好スコアの絶対条件。「ピンにあまり打っていかないのがいい。ミス前提で、どこに外したら(パーを)拾えるかというのを徹底した」と、ムリな攻めを封印。安全なゲーム運びの結果が好スコアに現れた。
50歳となってもツアーを引っ張る。スコアこそ2オーバーだが、35位タイで踏みとどまったのは深堀圭一郎。手嶋の1週間前に50歳になり、先日、国内シニアツアーデビュー。2試合を戦い、今季初のレギュラーに臨んだ試合で、後半の14番までを1アンダーで回った。15番ではミスと突風が重なりダブルボギーとしたが、それでも予選通過ラインを上回る位置で2日目に臨む。
そんな深堀の考え方も、手嶋と似通う。「風の方向を読めて、頭の中で整理して、グリーンエッジまでの距離をしっかり打てる方法があればパーは拾えます。ラフからでもどういう球で、外してもどこに置くか、それを考えていました。難しかったですが」と、安全に攻めて好機を待つ。そのスタイルを貫けるからこそ、深堀、手嶋ともに「日本オープン」を制するなど、難セッティングで強みを発揮する。
ツアーメンバーの飛距離が年々伸び続けることに対しては、年齢からくる衰えもあって、どうすることもできない。この日のドライビング計測2ホールの平均が手嶋261ヤードの133位で深堀は270ヤードの119位。飛ばなくとも、スコアをつくる見本を十分に示し、存在感を見せている。
手嶋はレギュラーツアー中心で、空き週にシニアツアー参戦。深堀はシニアツアー中心で、推薦出場でレギュラーツアー出場は限られる。それでも、「もうちょっとレギュラーでできそうだなというゴルフはしている。楽しみにしています」(深堀)。「硬いグリーンも風も好きなので」(手嶋)と、頼もしい言葉を残したふたり。アラフィフだってまだまだやれる、そんなところをあす以降も見せてほしい。(文・高桑均)
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