<ヨネックスレディス 初日◇7日◇ヨネックスカントリークラブ(新潟県)◇6456ヤード・パー72>
優勝こそないものの2位が3回。「ヨネックスレディス」と相性の良い上田桃子が、出だしの1番でトリプルボギーと出鼻をくじかれたものの、終わってみれば2アンダー。首位と4打差の16位タイと華麗なカムバックを見せた。
海外メジャーチャンプ キム・ヒョージュの存在が刺激に?【写真】
改めて振り返っても「やっちゃいました〜(苦笑)」というスタートホールだった。ティショットを左に曲げて朝一OBとすると、打ち直してフェアウェイに置いた4打目は「ティショットがちらついて…」と大きく右へ。5打目も「ラフがきつくて、傾斜もきつくて」とグリーンを捉えられず。ここから“寄らず入らず”でいきなり「+3」を突きつけられた。
だが、ここで気持ちを切らさなかった。「2週ぶりの試合だったので、“集中しろ”ということだなと。逆に目が覚めました。ここからいくぞという感じだった」。スイッチが入ると、バックナインで12番からの連続バーディなど4つ伸ばして迎えた18番。「スライスラインのちょっと難しい感じだったので、それが決まったのも自信になった」と2.5mを沈めてバーディ締め。「一番上も目指せる位置につけられた。明日以降につながるプレーができました」と納得のフィニッシュで、悲願の大会初勝利に望みをつないだ。
朝一のトリプルボギーでも落ち着いていられたのは、同伴競技者のおかげもある。「キム・ヒョージュちゃんと同じ組だったのですごく楽しみでした。彼女は特にひょうひょうとプレーするタイプで、学べるものは学びたいというのはすごくあった。でも、自分が冷静でないと、人のプレーまでは見られない。なので、自分はとにかく冷静に目の前のものを一つずつ片付けていこうということを心がけてできた」。2014年に「エビアン選手権」を制した世界トップの技術を盗める機会はそうそうない。「+3」くらいで、ばたばたしている場合ではなかった。
23歳の海外メジャー覇者から学ぶものは多かった。「ヒョージュは本調子ではないと思う。彼女本来の飛びはちょっと隠れているなと感じはしました」という前置きをした上で、「ウェッジショット、100ヤード以内に関しては抜群にうまかったですね。“ただ、寄りました”ではないんです。寄せている。それも小手先じゃなくて、身体全体で距離感をコントロールしていた。見られて良かったです」。世界屈指の小技に興奮気味だ。
メンタル面でも強さを感じた。「短い距離のパットを外したり、ボギーを打ったり。調子は良くないのに、それを1mmも表に出さない。むしろ調子はいいです、という雰囲気を出せていた。それが彼女の強さだと思う」。決して同伴競技者につけいるスキは与えない。そんな姿を目の当たりにしたからこそ、「今日のラウンドはスコア以上に収穫がありました」と充実感に満ちた表情を見せたのだ。
そのヒョージュは首位と1打差の5アンダー・2位タイと好発進。第2ラウンドではその背中を追いかけることとなる。「明日はとりあえず朝のティショットを気をつけます(笑)」と茶目っ気たっぷりに笑った上田。こういう時の彼女は何かやってくれる。そんな予感がする。(文・秋田義和)
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