<日本ジュニアゴルフ選手権競技 最終日◇16日◇霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)>
「自分が勝つとは思っていなかった」。これまで『日本』はおろか『中国地方』のタイトルもなかった17歳が、大仕事をやってのけた。来年の東京五輪の舞台でもある霞ヶ関カンツリー倶楽部で行われた「日本ジュニアゴルフ選手権」男子15〜17歳の部を制したのは、広島県にある瀬戸内高2年の唐下明徒(とうげ・はると)だった。
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粘り勝ちだった。初日に首位タイに立ってから、そのままトップを譲らない強さを見せた勝ち方だったが、道のりは簡単なものではなかった。第1ラウンドで5アンダーを出したことで2日目以降は『耐えるゴルフ』を目標に掲げたが、第2ラウンドの出だしで3連続ボギー。それでも強い雨風のなか何とか1オーバーのプレーで終えると、最終日も毎回先にボギーが来る展開となった。そんななかでも「伸ばせるホールで必ず獲る」とパープレーで踏ん張り逃げ切った。いかに大変だったかは開口一番放った「ホッとしている」という言葉に集約されている。
もともと出だしは課題にしていた部分だった。今大会の第2ラウンドだけでなく、これまでもスタートしてから、なかなかエンジンがかからない展開が多かった。そんな唐下のプレーを見ていた父・哲明さんは2日目が終わった後、「はじめの何ホールかが“ぽーっ”としている。心も気も引き締めていこう」と叱咤激励を飛ばした。
それを受けて「とにかく昨日ボギーを叩いた最初の3ホールを集中する」と心がけた。とはいっても、いきなりルーティンを変えるわけにはいかない。そのため、とにかく次のプレー地点までの間、自分に「はじめの3ホールだけはしっかり」と言い聞かせた。この日の1番でも、いきなりティショット、2打目にミスが出て40ヤードを残したが、アプローチを寄せてパーセーブ。「あれで勢いに乗って行けた」といつもなら落としている要所を締めて、その後の流れを作った。
唐下はまだ2年生。「プロになるのは決めています」と話すが、まずこれからの1年間は高校生として過ごす。卒業後に大学へ進学するのか、それともプロに転向するのかは決めていない。当面は目の前の一年間に集中する構えだ。「一番重要視しているのは日本アマですが、これからも“全国”や“日本”とつく試合に向けて調子を合わせていきたい」。ジェイソン・デイ(オーストラリア)に憧れる17歳は、ここからさらに名を馳せていく。
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