<トップ杯東海クラシック 3日目◇5日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7295ヤード・パー71>
3日目にしてようやく60台をマークした石川遼。最終9番ホールではグリーン手前の花道からサンドウェッジで25ヤードのアプローチを行うと、見事にカップイン。バーディ締めでギャラリーから大きな拍手を浴びた。
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「いい終わり方をできたのはよかったですね。今日はそれほどいいスコアではありませんでしたが、明日は少しでも上にいけるようにと思っています」
と、前を向いた。初日、2日目ほど風が強く吹かなかったものの、そこで崩されたアイアンの距離感は思うように戻らず、名物ホールである16番パー3ではわずかにショートしたことで、ボールは左のガケ下へ。このホールをダブルボギーにするなど、心のモヤモヤはなかなか晴れない。しかし、その石川の表情が一転して明るくなったのが、ラウンド後に行われたドラコンだ。
これまでドラコンプロの大会に出た経験はあるものの、トーナメントプロ同士での争いは初めてだという。今季はトレーニングの効果もあり、ドライバーの飛距離が伸びている実感もあるだけに、どこまで戦えるのか楽しくて仕方がないという気持ちが打つ前から伝わってきた。
ほかの出場選手は、自分の順番がくるまで用意されたベンチの上に座っていたが、石川は3人前の選手が打つぐらいのときから、立ち上がり、体を解し始める。緊張感を解くためか、555ミリリットルのペットボトルの水を飲み干すと、ほかの選手の打球を食い入るように見ていた。
そして、ついに石川の順番に。1球目はやや高く上がったものの、フェアウェイをとらえたことで333ヤードをマーク。すると2球目を打つときには、陸上の走り幅跳びなどの選手が行うかのように、ギャラリーに手拍子を求める。1球目のときとはちょっと違う雰囲気の中、思い切り叩いたボールは見事?なチーピンで左の林へと消えていった。
「実は、明日もこのホールを回るんですよね。今のショットが残像として残るリスクを背負ってしまいました」と、ギャラリーを笑わせた石川。結局、チャン・キム(米国)に逆転され、優勝賞金50万円を手にすることができなかった。
だが、実は本戦でイーグルを奪った15番パー5にはイーグル賞がかかっており、該当者が石川1人だったため、100万円をゲットしていたのだ。その辺りはさすがだが、少しずついい流れがきているのかもしれない。首位とは11打差に広がったが、2週間後には悲願の1つである「日本オープン」も控えているだけに気は抜けない。ショット自体の調子は悪くないというだけに、どこまでその差を縮めることができるのか注目だ。(文・山西英希)
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