今年の「日本オープン」は11年ぶりに古賀ゴルフ・クラブで開催される。2008年は優勝スコアがトータル1アンダーという難易度の中で片山晋呉が優勝。それ以前は、1997年にクレイグ・パリー(オーストラリア)がトータル2オーバーで優勝している。ツアー9勝を誇り、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の広報担当理事を務める佐藤信人が挙げた注目選手は?
H距離が伸びている石川遼のドライバースイング【連続写真】
■“ドライバー抜き”戦略は吉と出るか、それとも…!?
6768/6817ヤードのパー71と総距離が短い古賀ゴルフ・クラブ。加えて前2大会では、ティショットでドライバーを握ると着弾地点のフェアウェイが狭まり、ラフが深いのが特徴だった。「97年と08年をプレーした当時の記憶では、230〜240ヤードまでのラフはそこまで深くない一方で、ドライバーの距離だとラフがかなり深い印象。08年に優勝した片山選手は、狭いフェアウェイをしっかり捉えるためにドライバーを抜いていましたが、反対に2位に入った石川遼選手は、それよりも少しでもグリーンに近づいて短い番手でという選択をとった」。
今年は前回よりもフェアウェイを若干広くとる予定。2グリーンで面積が狭く、砲台になっているホールも多いため、ショートゲームのうまさも必須だが、選手ごとのティショットの選択も見どころのひとつとなりそう。「以前2大会よりは優勝スコアは良くなると思いますが、難関コースに変わりはないと思います」と、今年も技と技のぶつかり合いになりそうだ。
■歴代覇者2人の共通点は“□”がゼロ!
難関コースだからこそ求められるのが“泥臭い”ゴルフ。「こういったコースでひとつポイントとなるのが、ダブルボギーを打たないこと。グリーンを外してもパーを拾っていって、チャンスが来たらものにすることが大事」。
本コースでの過去大会ではダブルボギー(□)以上を叩く選手が続出する中、4日間でダブルボギーがゼロだったのが、08年は片山晋呉と3位のブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)。97年大会のパリーは、同年の出場者で唯一ゼロだった。ちなみに、08年の石川はダブルボギー3個、ボギーを10個叩いたが、13個のバーディ(大会2位)を獲ってカバーした。「中々バーディを量産できるコースではないので、2歩後退というのはこたえる。そうなると、パーキープ率やリカバリー率が高い今平周吾選手や、時松隆光選手の活躍が期待できると思います」(※)。
さらに、プロだけでなく“世界トップ”のアマチュア選手が今年も参戦。現在世界アマチュアゴルフランキング1位の金谷拓実(東北福祉大)も注目選手の一人。「力でねじ伏せるのではなく、ショットの正確性と小技やパッティングがうまい選手。17年の日本オープンでは池田勇太選手と優勝争いしていますし、プロのトーナメントに単発で出場してもサラリと上位に入る。今回も優勝争いに加わってくれるのではと期待しています」。
■ついに本領発揮!? 5度目の参戦のアダム・スコット
昨年に続いて、今年も米国男子ツアーからアダム・スコット(オーストラリア)が参戦。これまで本大会には4度出場しているが、目立った成績を残せていない。バーディ量産型のスコットは本コースとの相性がいいとはいえないが、今年は例年とは違う流れで日本に乗り込んでくる。
「これまでは米国のプレーオフシリーズを終えてから1〜2カ月実戦を離れた状態で、慣れない日本での参戦でした。今回は2018-19シーズンで3年ぶりに最終戦のツアー選手権まで進み、秋に米ツアー2試合にも出場している。試合感覚がある状態で日本に入るので、流れが違うと思います」と、世界ランキング17位の本領発揮を見たいところだ。
【今季パーキープ率】
1位:今平周吾
2位:P・ミーサワット
3位:G・チャルングン
4位:J・ジェーンワタナノンド
5位:時松隆光
【今季リカバリー率】
1位:p・ミーサワット
2位:T・ペク
3位:時松隆光
4位:パク・サンヒョン
5位:P・ピーターソン
…11位:今平周吾
【アダム・スコット本大会での成績】
2014年:38位タイ
2015年:7位タイ
2016年:予選落ち
2018年:50位タイ
■佐藤信人(さとう・のぶひと)
1970年03月12日生まれ、千葉県出身。高校卒業後に米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ進学。1993年に日本のプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝を挙げた。ツアー通算9勝を誇り、現在はJGTOの広報担当理事も務める。
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