<LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ 最終日◇1日◇宮崎CC(宮崎県)◇6535ヤード・パー72)>
朝から華やかさと重苦しい空気が会場を包んだ。当会場で行われる最終ラウンドの最多動員数を更新する8580人が来場。単独3位でスタートした渋野日向子に熱視線が注がれた。
成田美寿々直伝! 渋野日向子と原英莉花のかっこいいポーズ【写真】
大きな声援と期待を背負いスタートした渋野だが、出だしから5m前後のバーディパットをことごとく外し、最初のバーディが訪れない。「全く考えていなかった」と自身は語ったが、逆転での賞金女王戴冠への期待は高まるばかり。そんな思いとは裏腹に、渋野のゴルフは停滞した。
「前半はまったく……だった。10番も入らなかった時点で終わったなと思いました」。再三のチャンスを逃し、9番パー5ではセカンドがバンカーにつかまると、3打目はまさかのトップでアゴに当たり再びバンカー。4打目を2mに寄せパーセーブし、なんとか緊張の糸を切らさずに後半の巻き返しを図ったが、10番では奥からの2.5mを外し、ひと組後ろの最終組を回るペ・ソンウ(韓国)の快進撃に屈していく。
途中、12番のパー3ではあとわずかでホールインワンというショットでバーディ。13番のパー5でも花道からの3打目をピタリと寄せてバーディを奪った。追撃開始かと思いきや、15番ではアプローチのミスからボギー。ここで勝負は決してしまった。
上がってみれば優勝したソンウとは4打の差がついたが、トータル7アンダーは堂々の2位タイ。最終ホールではセカンドを2.5mにつけてバーディフィニッシュ、代名詞のスマイルで大歓声に応えると、「長かったような、短かったような」1年を締めくくった。
「最後入ったら気持ちよく終われるかなと思った。どのパットよりも気持ちが入った。(最後のパットが)入って笑いしかなかった。(セカンドショットを)ダフって乗せるところは私を象徴している。良い終わり方をしたなと思います」と、ちょっとだけダフったセカンドのミスショットからナイスバーディは、全英最終日、優勝を決めたパットを思い起こさせた。
常々、まだまだ未熟と話している渋野だが、今季の点数を聞かれこう答えた。「本当は100点以上の年。でも、98点。2点は軽井沢の3パットです」と最終ホールで競り負けた「NEC軽井沢72」で涙を流したパットの分を減点したが、「何回も優勝させていただき、いろんな人と出会えた」と、思いがけない1年を笑顔で振り返った。
ツアールーキーが描いたシンデレラストーリー。日本中を席巻したシブコフィーバーはひとまずこれで終了。クリスマスイブに「おやしらずを抜きます(笑)」と最後もシブコ節で締めくくった渋野。テレビ出演やイベントなど、コース外での忙しい日々はまだまだ続くが、とりあえずひとつだけ言わせてほしい。お疲れ様でした。そして、ありがとう渋野日向子!(文・高桑均)
<ゴルフ情報ALBA.Net>