ルーキーシーズンの開幕月でいきなり6位タイスタート。自身の開幕戦でトップ10に入ったとはいえ、その後2試合は予選落ちとなり、迎えた4月。渋野日向子は、その後も語り継がれる記録を打ち立てた。
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4月の初戦は難コース・葛城ゴルフ倶楽部を舞台に行われた「ヤマハレディースオープン葛城」。ツアー屈指の名コースは例年、選手を苦しめるセッティングになるが、初出場の渋野も洗礼を受けた。初日は「78」をたたき84位タイ発進。大きく出遅れた。2日目はなんとか耐えて「72」でからくも予選を突破すると、決勝ラウンドではスコアをまとめ27位タイでフィニッシュした。
続く「スタジオアリス女子オープン」でも初日「76」を叩き86位タイ。またしても初日から苦しい展開となった。自身を「スロースターター」と呼ぶ渋野だが、ここでも出遅れからの巻き返し。2日目を「71」とし予選を突破すると、最終日は「69」で追い上げ、16位タイで大会を終えた。
初日から好スタートとまではいかないまでも、“そこそこ”のスコアを出しておけば、というもどかしさは残るが、しっかりと3日間、4日間の中でもバウンスバックをするのは渋野らしさ。そんな巻き返し女王の名前が一段と注目されたのが、翌週の「KKT杯バンテリンレディスオープン」。事件は初日から起きた。
108人出場の本大会。エントリー締め切りの段階で前年のファイナルQTで40位の渋野には出場権がなかったが、その後出場が決定。初日は10番スタートの最終組。スタートダッシュを決めたいなかで、前半のハーフはまさかのボギー、ダブルボギースタート。その後も1バーディ・3ボギーで「41」。後半に入っても上がりで4連続ボギー。「最初の3ホール連続で木に当てて、パー5では5つ落として…」と散々な内容で、終わってみれば「81」の106位タイ。最下位となってしまった。
このときは、ツアールーキーが大叩き、程度の認識しかなかったが、事件は2日目も続く。「コーチから“やれるだけやってこい”と言われたので攻めようと思っていました」と10番の最終組からスタートすると、序盤から順調にバーディを重ね、18番パー5では2オンに成功してイーグルを奪取。その後も上がりでバーディを決めて「66」。前日から15打も縮めて、予選通過圏内の50位タイに滑り込んだ。
「私にも意味が分かりません。99%通ると思っていなかったので、こんなに予選通過がうれしいことはないですね。感激と驚きで泣きそうです」と地獄からはい上がり、「明日は最終日を回れるよろこびをかみ締めながらプレーしたいと思います」と、意気揚々と日曜日へと向かった。
3日間競技で最下位から予選通過を果たしたのはツアー制施行後、2003年の竹末裕美以来2人目。大カムバックを果たした渋野は、最終日を4アンダーで回り、なんと20位タイで大会を終え、「あそこから始まったのかなと思います」とその後の快進撃のスタート地点に、熊本の地を挙げた。
翌週の「フジサンケイレディスクラシック」はこのカムバック景気に乗り、初日を26位タイにまとめると、2日目には7位タイに浮上。首位と5打差で最終日に入った。差が開いているとはいえ、上位陣にはツアー未勝利選手がひしめく中で、逆転の可能性を残してのスタート。前半だけで2つスコアを伸ばすと、後半に入っても16番までに3つバーディを奪い、首位戦線へ。ところが難関17番パー3でダブルボギー。「63」をマークして大逆転を果たした申ジエ(韓国)に一歩及ばなかった。
自己最高の2位タイに入り、ブレイク幕開けの予感がますます強くなった。翌週の「パナソニックオープンレディース」は今季初の初日60台の滑り出し。最終的には13位タイだったものの、3日間アンダーパーを並べ、あの衝撃のメジャー優勝へとつなげていく。
【4月の成績】
■ヤマハレディースオープン葛城
27位タイ
■スタジオアリス女子オープン
16位タイ
■KKT杯バンテリンレディスオープン
20位タイ
■フジサンケイレディスクラシック
2位タイ
■パナソニックオープンレディース
13位タイ
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