新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いています。そこで、少しでもツアーへの思いを馳せてもらおうと、ツアー取材担当記者が見た選手の意外な素顔や強さの秘訣、思い出の取材などを紹介。今回はゴルフクラブだけではなく、ペンを握らせても豊かな才能を発揮した選手の話。
昨シーズンも終盤を迎えていた頃。ALBA.Netとして年始用に『女子プロから年賀状が届く』というプレゼント企画をおこなうために、選手の直筆年賀状をゲットすべく会場を右往左往していました。年賀ハガキを渡し、今年の干支・ネズミのイラストとともにメッセージ、サインを書いてくださいとお願いし、多くの選手に協力してもらうことができました。選手それぞれの個性が表れるデザイン。それを見ているだけでも、楽しい“取材”となりました。
女子プロゴルファーとイラスト。この組み合わせにより、試合中には分からない“意外な一面”を見ることも多かったです。なかでも印象に残ったのが柏原明日架プロでした。とある大会の練習日。クラブハウスに戻ってくる柏原プロを見かけた私は、白紙の年賀状とサインペンを携えてプロのもとへ。企画の趣旨を説明すると、突然の申し出にもかかわらず、快くOKサインを出してくれました。
机の前に座り、いざ制作開始。すると、一気にかわいらしいネズミのイラストが描かれていきます。時々バランスなども確認。手つきを見ると、絵がうまい人のそれという感じで、私は『めちゃくちゃうまいですね!』という感想ばかり口にしていました。「小さい頃からイラストやデザインが好きなんです」と柏原プロ。傍らにいたお母さんからも、「小さい頃は紙とペンを渡したら、それでずっと遊んでいましたね」と“証言”してくれました。
練習で疲れているなか、細部まで丁寧に仕上げてもらい完成! 『HAPPY NEW YEAR』の“NEW”の部分をネズミにひっかけて“chu!”とする工夫もいただき、コミカル&ポップな世界で一枚の年賀状が完成しました。
昨年の「伊藤園レディス」会場で、柏原プロが佐伯三貴プロの誕生日を祝うため、自らがデザインしたTシャツをプレゼントしたという話を聞いた私。インスタグラムに写真がアップされているということで見てみると、そこにはユーモアに富んだ自分の“似顔絵”が描かれたTシャツを着て、ご満悦そうな佐伯プロが写っていました。ゴルフ以外の話をした時にこぼれてくる、こういう“意外な一面”を知ることができるのも、現場で楽しさを感じる一つの要素と言えます。
さて、年賀状の話に戻ります。実は、この完成品をもらった後、私のなかでものすごい後悔が湧き上がってきました。『色鉛筆、持ってくればよかった!!』。これに色が入ったら、そのポップさがさらに際立ったんだろうな。そう思った私は、せめて何か色が出せるものが入ってないかゴソゴソと自分のカバンを漁ったのですが、出てきたのは漆黒のボールペンのみという体たらく。よし、今年の年末こそは…。柏原プロ、その際にはぜひまたご協力よろしくお願いします!(文・間宮輝憲)
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