<JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント 初日◇9日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城)◇6766ヤード・パー70>
国内男子ゴルフのツアー外競技、「ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」の初日が終了。石川遼は7バーディ・1ボギーの「64」をマークし5位タイと好スタートを切った。
2月以来の実戦となった石川は、新たなクラブセッティングで初日に挑んだ。昨年までは、アイアンセットのPWに加え52度、59度のウェッジを使っていたが、この試合で初めてアイアンセットのPWを抜いて、47度、52度、56度、60度の4本のウェッジを投入。4本のウェッジの組み合わせに替えた狙いは何だったのだろうか?
アイアンセットのPWを抜いたことに関しては、バーディチャンスにつける距離のレンジを増やしたいという狙いがある。
「今までは52度と59度の2本のウェッジで120ヤード以下を打っていたんです。52度を持てば2つ(2打)で上がれると思っていた。それが47度を持ったときでも、顔の形をそろえることで同じ気持ちになれるように。47度は140ヤードなので、140ヤード以内に入ったときに2回で上がりたい。それが自分にとって勝負になってくる」と石川は語る。
石川の4本のウェッジの番手別の飛距離は以下のようになっている。
・47度 140ヤードまで
・52度 125ヤードまで
・56度 112ヤードまで
・60度 98ヤードまで
ここに56度を入れた意味が見えてくる。
「今までは52度と59度で25ヤードくらい距離の幅が空いていたんですけど、そこを12ヤードくらいのピッチになるようにした。それで56度を入れて上の3番アイアンのユーティリティを抜いたということです」。距離のピッチを狭くすることで、バーディチャンス自体を増やそうという狙いがある。
実は石川は、2014年シーズンの米国男子ツアーで75〜100ヤードのスタッツで1位に輝いている。原点回帰してショートゲームの精度を高めたいという意図があるのだろうか。
「75〜100ヤードと100〜125ヤードの1位は意味が違う。75ヤードは中途半端な距離で、フルスイングできるプレーヤーはいません。100〜125ヤードのほうがより再現性が高いフルスイングでのスタッツになる。試合では1球しか打てないので、中途半端な距離とフルスイングの距離だったら、フルスイングの距離のほうがブレは少ない。そこを強化していきたいと思っています」
ウェッジ4本のフルショットによって、バーディチャンスのレンジと数を増やす。その意図はティショットにも表れていた。『どんなホールも怖がらずにドライバーで攻める』という時代もあった石川だが、この日は3番ウッドや2番アイアンでのティショットが多かったのだ。
「3Wや2Iでティショットを打っても、自分のピンを狙っていける距離、100〜120ヤードくらいに収まるホールがありました。逆にドライバーで打つと、70〜80ヤードまでいって、サンドウェッジのフルショットができなくなるので、そこまで打っていくことは、今日はしなかったですね」
実質56度を足して4本のウェッジを入れたことで、3番アイアンを抜くことになる。これについてキャロウェイのツアーレップ、島田研二氏に話を聞くと、「4番アイアンをちょっと調整して、気持ちだけ飛ぶようにしている」という。さらに「目指しているところをもう一度頭の中で整理したときに、どこが強みなのか。ドライバーで飛ばすことも必要ですけど、それ以外で自分の何が強みなのかというのを考えたときに、そこに答えがいたったんじゃないですか」と教えてくれた。
この試合が終われば、次の試合は米国になる可能性が高い。「自分のゴルフスタイルでどこまでできるか純粋に楽しみ」という石川の新しい挑戦が始まった。(文・下村耕平)
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