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「6アンダーに見えないゴルフ」　金谷拓実の静かな強さ

＜フジサンケイクラシック　3日目◇5日◇富士桜カントリー倶楽部（山梨県）◇7566ヤード・パー71＞
9年前に松山英樹がアマチュア優勝を果たした「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、昨年史上4人目のアマチュア優勝を果たした金谷拓実（東北福祉大4年）。2018年の「アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権」では、松山以来の日本人優勝を達成するなど、輝かしい功績の共通点から、偉大な先輩と重ねて注目されることも多い。
本大会でも、3日目を終えて首位とは3打差。単独首位の星野陸也から、後続の時松隆光、比嘉一貴に続いて単独4位に入る猛追を見せた。この日、同組で回った佐藤大平のキャディを務めていたのが、丸山茂樹をはじめ多くのトッププロのバッグを担ぎ、近年では松山のキャディを務めたこともある杉澤伸章氏。松山を一番近くで見てきた杉澤キャディは、金谷のプレーをどう見たのだろうか。
プレースタイルでいえば、松山とは異なるタイプ。「松山選手は、緻密な計算のもとで豪快にいくイメージですが、金谷選手は自分をよく知っていて、無理はしない中でスコアを作っていくイメージ」というのが杉澤氏の見解だ。
大学やナショナルチームでの経験から、試合前の練習ラウンドではコースチェックを入念に行う。とくにグリーン周りを重点的にチェックし、コースメモに傾斜などを細かく書き取っていく。今週も、「初めてのコースだったので、雰囲気を含めてしっかりコースの事を知ろうと思いました」と、3日間で2.5ラウンドを回った。
「マネジメント力がすごいです。距離がものすごく飛ぶわけではないけど、コースが分かっているから、グリーンを外すことを想定して、どこから外れるか、どこからのアプローチが易しいかを分かっている。グリーン上だけでパーを獲ろうとしていない。視野が広いと思います」

第3ラウンドのパーオン率は72.22％で、グリーンを外したのは5ホール。そのうち4ホールはパー、1ホールはチップインバーディと1つも落としていない。この日はボギーフリーで1イーグル・4バーディの「65」。6つ伸ばしてこの日のベストスコアをマークした。豪快に攻めるというよりも、“最低限ボギーを打たない”マネジメント。着実に進む中で、流れが来ると強い。「だから、今日は6アンダーも出しているのにそんな風に見えないんですよね、ゴルフが」。淡々とスコアメイクをしていくスタイルは、松山とはまた違った強さだ。
「難しいコースになればなるほど生きてくる。飛距離は当然大事ですが、今の飛距離の中でどう組み立ててラウンドできるか。全米オープンも楽しみですね」と杉澤氏。勝てば、アマチュアとしては史上初のツアー2勝目。先を行く松山の背を視界に捉える日は、そう遠くない。
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