<ANAインスピレーション 最終日◇13日◇ミッションヒルズCC(米国カリフォルニア州)◇6763ヤード・パー72>
三つ巴のプレーオフとなった海外メジャー今季2戦目「ANAインスピレーション」。世界ランク3位のネリー・コルダ(米国)、同9位のブルック・ヘンダーソン(カナダ)というトップ10ランカー2人を退けたのは、同94位のイ・ミリム(韓国)だった。
まさに“優勝者のゴルフ”といった劇的な戦いだった。2打差の3位タイから出たミリムは前半から2つ伸ばしていく。後半も16番までに2つのバーディを奪ったが、前を走る2人もさらに伸ばしていく。そんななか17番でボギー。初のメジャータイトルはついえたかに見えた。
だがここからが奇跡の始まりだった。「がっかりしたけど、なんとかバーディを獲らないとと顔を上げた」と向かえた18番パー5。2オンを狙い、しっかりとグリーンわきに運んだ。そしてそこからのアプローチが、なんとチップインでイーグル。この日3回目となるチップインでクラブハウスリーダーでホールアウト。プレーオフ1ホール目は似たような位置からしっかり寄せてバーディ。パーとした2人を撃破した。
「本当に驚いた。助けてくれたのはちょっとした運だったに違いない」と振り返った奇跡の1打。「正直言って、あまり考えていなかった。バーディを獲りたかっただけだったのが、入ってしまった。チップインが3回のラウンドは初めて」と自身が一番驚いたようだ。
ドラマチックにつかんだメジャー制覇。だが、今大会を優勝したものだけの特権である、だれもがうらやむポピーズボンドへのダイブをためらった。結局、勢いよくキャディが飛び込むなか、優勝者は控えめにちょこんと入水。その理由を「本来水は怖くないけど、少し深く見えたので飛び込むのが怖くなった。その瞬間に少しためらったのは本当」と茶目っ気たっぷりに笑った。
初めてつかんだビッグタイトルにも「今日はなんとか良かったけど、まだ改善したい点がたくさんあるので、これから直していきたい」と謙虚な姿勢を見せた29歳は、バスローブに身を包んだ背筋をピンと伸ばした。
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