<全米オープン 初日◇17日◇ウィングド・フットGC(米国ニューヨーク州)◇7477ヤード・パー70>
「全米オープン史上もっとも難しいコース」、「優勝スコアは8オーバー」などの前評判とは裏腹に、ジャスティン・トーマス(米国)は6バーディー・1ボギーの5アンダーで初日首位に立った。「65」はウィングド・フットGCで開催された過去6度の全米オープンでの最少スコア。このトーマスの5アンダーを筆頭に初日にアンダーパーをマークしたのはなんと21人。いったいこのスコアはどこから来たのだろうか?
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「驚くほどグリーンがソフトで、ボールが止まった。特に朝はね」とトーマス。午前8時7分のスタート時間をフルに活用した。「65のプレーは本当にやっていておもしろかった。とくにこのウィングド・フットGCではね」と自信の笑みを浮かべる。これまでの全米オープンの同会場でのコースレコードは「66」。その「66」を初日にマークしたのはパトリック・リード(米国)、トーマス・ピータース(ベルギー)、マシュー・ウルフ(米国)の3人、いかにコースコンディションがやさしかったか分かるだろう。
「73」で回ったジャスティン・ローズ(イングランド)は「朝はすばらしいコンディションだった。アイアンショットはグリーンで止まった。それでもこのコースは難しいから、65は驚異的だ」という。
グリーン上でボールが止まったのはやはり天候の影響だ。こればかりはUSGAのコースメインテナンスもコントロールはできないところ。初日の朝は風もなく朝露でコースはすっかり湿った状態だった。気温も上がって練習日にはなかった湿気が、初日はなぜかニューヨークを襲った。この湿気がこれだけのスコアを生み出す要因となった。
「ティからグリーンまで、ものすごく安定したプレーだった。おそらくティからグリーンまでだけなら、自分のゴルフのベストラウンドの一つかもしれない」とトーマス。「少しのミスもあったからあと2、3打は良いスコアにできる可能性もあった。ただしミスは正しい場所へのミスばかり。それが全米オープンでの鉄則だ」と話す。
ではこのコンディションは今後どうなるのだろうか? 「初日のグリーンの軟らかさはUSGAにとってはある意味テストで、このあと週末に向けて、グリーンの硬さを調整するためのもの。しかし少し軟らかさ過ぎたと思っているに違いない」とトーマスは予測する。
予選2日目、金曜日の午後には風が吹く予報で、しかも瞬間的には風速10m/sを超える突風もあるかもしれない。果たしてUSGAはどのように2日目のグリーンセッティングを整えるのか、今頃はその準備に追われている時間かもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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