<全米オープン 2日目◇18日◇ウィングド・フットGC(米国ニューヨーク州)◇7477ヤード・パー70>
『優勝スコアがオーバーパーになる』という戦前の予想通り、強い風が吹き、前日と比べてフェアウェイ、グリーンが格段に硬い状態となった難関コースに多くの選手が苦しめられた。そのなかで松山英樹は3バーディ・2ボギーの「69」をマーク。トータルイーブンパーにスコアを戻し、首位と4打差の好位置で決勝ラウンドに向かっていく。
10番からスタートすると、序盤からティショットが、しっかりとフェアウェイをとらえる。12番パー5での1.5mのバーディパットなど、チャンスも作った。しかし、それがわずかに外れガマンの連続。「とてもいいプレーができたけど、パッティングがあまり良くなかったのでそこは反省」と、松山自身もグリーン上を課題に挙げた。
「(前日までとは)比較にならない(ほど難しくなった)。グリーンコンディションもタフになって、このコースが本領を発揮した」。松山は2日目のコースについてこう語った。そんななかパーでしのいできたが、18番でついにボギーを喫してしまった。だが直後の1番で、そんな流れを変えるような“神業チップイン”が生まれた。
ファーストカットからのセカンドショットは、グリーンをとらえきれずピン左手前15ヤードほどのカラーに落ちた。ここで「パターかウェッジかで迷った」という松山は、あまり調子がよくないと感じたパターではなくウェッジを選択した。
このアプローチは一度はカップを大きく越えたが、これは「練習ラウンドであそこは戻ってくるのが分かっていた」と作戦通り。ボールはピン奥で一度止まると、傾斜をコロコロ転がりながらカップに向かい、そのまま吸い込まれた。これには松山も「なかなかないバーディ。うれしかったですね」と両手をあげてガッツポーズ。同伴競技者のパトリック・リードとジョーダン・スピース(ともに米国)も、笑顔でこの妙技が成功するところを見届けた。
ここ以外でもアプローチが冴え、ピンチを切り抜ける場面が多かった。そしてしっかりとパーをセーブし、それを上がり2ホールの連続バーディにつなげていった。「グリーンが乾いてきて、そこは神経を使った」。これが、この日わずか3人しかいなかったアンダーパーラウンド実現には不可欠だった。
「ティショットと、グリーンをヒットすることが大事になる。そこをしっかりやれば上位に入れると思う」。少しでも油断すると、一気にスコアを落とすことになる難関コースを前に、ムービングデーも慎重にその歩みを進めていく。
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