ただでさえバンカーが苦手なのに、ピンまで30〜40ヤードと距離が遠くなると、もうどうやって打てばいいのかわからなくなる。15歳でのアマチュア優勝を含むツアー通算4勝を挙げている勝みなみは、「ピンまで30ヤードくらい打つ距離が遠いときは、スタンス幅を狭める」という。それで本当に飛ぶようになるの?
まずは15ヤードくらいの通常の距離の打ち方から聞いてみよう。バンカーショットというと、スタンスをオープンにしてフェースを開き、カットに振るというのがセオリーだ。勝の場合、フェースは開くがスタンスはオープンにしない。
「飛ばしたくないときは、スタンス幅を広げてヒザを曲げて腰を落とします。そうすると“どっしり”するので、体重移動があまりできません」。スタンスを広げると、体重移動が大きくなるイメージがあるが、極端にスタンスを広げて、ヒザを曲げて腰を落としてみるとわかる。下半身がロックされて体重移動はできない。
さらに、腰を落としてハンドダウンに構ええることで、右に向いたフェースが上に向くので、スタンスをオープンにしなくてもボールが目標に飛ぶというわけだ。「この構えにするとヨコに振れなくなるので、クラブを上から下ろすしかなくなります。バンカーだからといって上から打ち込もうとか考えなくてもいいのです。ボールを左に置いて、ヘッドの最下点より少し先にあれば、勝手にダフってくれます」。勝のバンカーショットは非常にシンプルなのだ。
さてここからが本題。ボールを飛ばしたくないときほど腰を落とすという勝だが、30〜40ヤード先までボールを飛ばしたいときはどうするのか。「逆にスタンス幅に狭めます。通常のバンカーショットよりはフェースを開きませんが、私はちょっとフェースを開いたほうが安心できる。そして少し腰を落とします」。フェースを開いた分、ハンドダウンにしてフェースを真っすぐ向けるのは、通常のバンカーのときと同じ。でもスタンスを狭めたらもっと飛ばなくなりそうだが。
「スタンス幅を広げて腰を落とすと、体重移動できませんが、通常のスタンス幅にすることによって、体重移動を使いながら打てるので、ボールが飛ぶのです。それでも直接ボールを打つわけではないので、フェアウェイから打つときよりも、ボール1個分左に置きます」
実際に勝が打ったボールは強く飛び出し、きれいな放物線を描いて30ヤード先のピンに寄っていった。今まで難しく考えていた距離の遠いバンカーも、勝の打ち方ならフェアウェイから打つアプローチとあまり変わらない。今度こそはきれいに脱出できそうだ。それでもバンカーには入れたくないものだが…。
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